ついにというべきか、やはりというべきか、「忖度」という言葉を流行語にした加計学園の獣医学部新設が認められた。いまさら言うまでもなく、岡山理科大学を運営する加計学園の理事長を務める加計孝氏は、安倍晋三首相の親友である。疑惑と問題視されるなかで、安倍首相自身が戦略特区を活用し、獣医学部の新設を認めない「岩盤規制に穴を開けた」と自画自賛した獣医学部新設だ。 


 その騒ぎの前には森友学園疑惑というのがあった。当初、「安倍晋三記念」と銘打っていた小学校新設である。こちらは首相夫人の昭恵氏が戦前の教育勅語や修身教育を重視する教育方針を賞賛。講演に行ったり、夫人付きの公務員が財務省に“口利きをした”結果、国有地の“不当値引き売却”したことなどが問題になった利権疑惑だ。が、結局、大騒ぎの末、小学校新設は潰えた。


 この加計学園と森友学園が疑惑かどうかはともかく、どちらも首相の家族、親友が利権疑惑の中心にいる。先進国として、民主主義国家として、これほど恥ずかしいことはない。戦後の吉田茂首相以来、野田首相まで歴代の首相の親族や友人が利権疑惑に関わったということは寡聞にして知らない。 


 お隣の韓国では歴代の大統領が親族や親友が大統領の威光を借りて汚職や脱税などの利権を貪り、大統領が自殺したり、隠遁生活を余儀なくされたりしている。前大統領の朴槿恵氏は“影の大統領”といわれた親友とともに逮捕され裁判中なのは周知のとおりだ。 


 だが、今、日本の首相の家族と親友が利権疑惑の中心という前代未聞のことが起こった。もはや、韓国を笑えない。(常)