東京電力の柏崎刈羽原発の再稼働が認められた。小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を主張しているが、小泉元首相だけでなく、原発再稼働に反対する人は多い。が、それでも九州電力の川内原発を皮切りに次々に規制委員会から新基準を満たしたとして再稼働が認められている。 


 ところで、お気付きの人もいるだろうが、今まで再稼働を認められたのはすべて西日本の原発である。 


 原発には沸騰水型と加圧水型、さらにチェルノブイリ原発事故を起こした黒炭減速炉がある。黒炭減速炉はもうつくられず、世界では加圧水型と沸騰水型が主流だ。日本の原発は北海道電力、東北電力、東京電力など東日本の電力会社の原発は東芝、日立製作所が提携した米GEが開発した沸騰水型原発で、西日本の電力会社の原発は米ウェスチングハウスと提携していた三菱重工業の加圧水型である。


 沸騰水型、加圧水型ともに長所、短所があるが、福島原発事故を起こしたのは沸騰水型である。それも「マーク1」と呼ぶ初期の原発で、発電量も小さく45万キロワット程度である。 


 なぜ、今まで再稼働を認められたのは西日本の原発ばかりだったのか。実は「決断力が早い」と称賛されている安倍晋三首相は「ベース」と呼ぶ国家のエネルギー政策をハッキリ示さず、「ベースロード」という言葉を使い、「再稼働すべきかどうかは、すべて原子力規制委員会の判断によるんです」と答弁している。早い話が、再稼働すべきかどうかの判断を規制委員会に丸投げしているのである。


 丸投げされた規制委員会は、おっかなびっくりで福島原発事故を起こした沸騰水型を避けて、加圧水型原発だけに「新規制をクリアした」と再稼働を認めた。


 が、もう加圧水型はほとんどOKを出し終わった。次は沸騰水型を再稼働させるかどうかに移った。その第1号が柏崎刈羽原発なのだ。「決断力がある」安倍首相も、新規制をクリアしているか判断する原子力規制委員会も、責任を押し付けられるのを嫌って誰かに責任をなすりつけたがっている様は、滑稽としか言いようがない。(常)