1月4日の大発会で700円を超える急騰を受けたせいか、2018年の株価見通しは強気の声が多い。証券マンやエコノミストの間では「日経平均株価2万6000円台乗せが確実」という人が多い、いや、「3万円になる」という超強気の声もある。
だいたい証券会社や証券系の経済研究所のエコノミストは商売柄、常に「株価は上がる」と強気の見通しを語る。とくにリフレ派(金融緩和派)が幅を利かせているから、株価上昇するという見通しが多い。加えて、戌年だという説もある。兜町では古くから「申、酉騒ぐ。戌笑う」と言い、「申年、酉年は株価が乱高下し、戌年は株価が上昇する」という格言があるからだ。
だが、バブル崩壊後、東証一部市場では外国人の保有株が6割を超えているし、日々の売買に至っては7割が外国人の売り買いである。当然、日本の景気との相関関係は低い。もっぱら、アメリカの景気動向と為替相場で売ったり買ったりし、日本株が動いている。
例えば、昨年10月後半から11月下旬まで株価が上昇した時の投資家主体別動向をみると、個人株主、日本法人は大幅売り越し、日銀と年金の資金を運用する金融法人と証券会社の自己売買は売り買いがほぼ同数。唯一、大幅買い越ししているのは外国人である。外国人投資家の動向次第で日本株は上がったり下がったりしているのである。
日本株の動向を握っている外国人投資家は大手投資基金とヘッジファンドを含めたファンドである。投資基金は世界中の株に投資しているが、その内訳は、例えばアメリカ株が50%、ヨーロッパ株が20%、日本株が15%、中国、インド株が10%……という具合に分散投資をしている。そして為替が円安になれば、ドル換算で日本株の比率が下がるから日本株を買い増し、逆に円高が進めば比率を下げるために売り越す。
一方、売買益を追求するファンドの運用担当者は世界の景気と為替で売買を判断するが、「日本株は日銀と年金が買い支えているから損することはない。官製相場ですからね。たとえ、為替が急に円高に進み、株価急落で損をしても為替で儲かるから十分穴埋めできる」と笑う。
政府もマスコミも株価が上昇し景気がよくなるというが、売買の7割を占め、株価を動かしている外国人投資家の話を聞く限り、株価と日本景気とは関係がないようなのだ。株価上昇だけを見て「春爛漫」とはいかない。 (常)