これまで診療報酬に興味がなく、継続研修などで診療報酬について情報提供を受けても“スルー”してきたMRたちも、今回のダブル改定のインパクトを肌で感じ始めているころかもしれない。
しかし、診療報酬や地域包括ケアの話をMR活動にどうリンクさせたらいいかわからないMRや所長がほとんどではないだろうか。
先週講演で訪れた宮崎県・日南では、講演後に某社の所長から「若い社員を、どのように導いていくのか、日々考えあぐねているなかで、とても有意義なお話でした。次の営業所会議で、所員と共有したいと思います」というメールをいただいた。
診療報酬改定を先取り、活用するメリットは何か?
それは、コミュニケーション=実績の“取りこぼし”をなくすことである。診療報酬改定という“刺激”に対して、新たな施設基準の届出・点数の算定など、どのような“反応”を得意先がするつもりなのか。このようなニーズをヒアリングしていく過程の中で、先生方とのコミュニケーションが深まり、得意先の「考え方」を把握することができる。
医薬品卸ファイネスのソリューション統轄部医業開発室の田中秀幸さんは、2月3日に都内で開催されたMBA交流会「知恵の輪クラブ」(MR-NET主催)で講演し、
●なぜDr.は「今」その提案を検討する必要があるのか?
●なぜDr.はその提案に投資をすると効果があるのか?
●なぜDr.はその提案を選ぶ必要があるのか?
の3つをクリアにすることが営業の基本であり「どれかひとつが欠けても採用にはならない」と指摘した。医師に必要とされるMRはその基本ができているという。
この3つの質問をよりクリアにできる改定内容があれば、大きな強みになるはずだ。
今回のダブル改定に関して、得意先の関心はどのように変化するのか。
【改定前】
●どんな点数が新設される(た)か?
【改定前後】
●どの点数を取りにいくべきか?
●どのようなシステムを組んで対応すべきか?
●どんなアウトカムを出すべきか?
【改定後】
●他医療機関・薬局の事例が知りたい
●次なる一手は?
今週7日には診療報酬改定の新設・変更点数が明らかになる予定だ。改定項目の中から自社製品の追い風になりそうな“種”を見つけよう。
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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。