今週は文春、新潮とも、トップは皇室ネタ。このところ秋篠宮眞子内親王との縁談がこじれている婚約者・小室圭氏の話だ。新聞やテレビでも報じられた氏の留学にまつわる周辺情報で、文春は『秋篠宮ご夫妻も愕然 小室圭さん裏切りのマンハッタン留学』、新潮は『「小室圭くん」が米国留学3年の勝算』というタイトルで記事をまとめている。


  小室氏をめぐっては昨年来、氏の母親の金銭トラブルがさまざまに報じられ、当初、秋の予定だった結婚が2年間、延期されるに至っている。両誌の記事によれば、小室氏は米国の弁護士資格をめざす今回の留学で、周囲からの懸念を払拭したいようだが、一方で皇室サイドには、内親王から小室氏を遠ざけることで、縁談の“自然消滅”を願う本音も見え隠れしているという。


  本人同士の意思を尊重するあまり、事前の“身体検査”があまりにずさんだったこの縁談、昨年来の報道を見る限り、皇族ならずとも心配になるマッチングに思える。最近は英国のロイヤルウェディングにも“大衆紙ネタ”が散見されるように、“開かれた皇室”になればなるほどに、この手の混乱も増えるのかもしれない。秋篠宮ご夫妻の心労を思うと、お気の毒になる。


  文春はもうひとりの“小室氏”についても独自ネタを載せている。この1月、文春の不倫報道をきっかけに音楽業界引退を表明したプロデューサー・小室哲哉氏をめぐる続報である。氏は報道直後の会見で過去7年、くも膜下出血に倒れた歌手の妻KEIKO氏を介護してきた精神的疲れも打ち明けて、世論はそんな氏に同情、一時は“文春砲の横暴”への反発さえ引き起こした。


  ところが、今回の記事によれば、病床で意思疎通もままならないはずだったKEIKO氏は今はもう、日常会話はおろか滑らかに英会話までできる状態に回復し、しばしば友人とカラオケも楽しんでいるという。小室氏が公に語ったのは、彼女が倒れた直後の状態であり、彼自身は現実にはもう久しく妻の面倒を親族に押し付けたままだという。『“裏切りのニンニク注射”170日目の真実 「小室哲哉は許せない」 KEIKO親族怒りの告発』。そう題したスクープは、会見での説明はウソ塗れだった、と暴いている。


 今週気になったのは、週刊ポストの『英オックスフォード大「新聞の信頼度ランキング」の衝撃 1位日経、2位地方紙、そして読売、産経、毎日 朝日は最下位! この現実を直視しないのは朝日記者だけ』という記事だ。若い世代は新聞離れが進み、だから森友問題で朝日がスクープを放っても、政権支持率は下がらなくなっている、と論じている。


 だがよく読むと、このランキング調査は統計的に意味のある無作為抽出調査でなく、ネット上で意見を聞いたものだという。ならば、この結果に何の驚きもない。ネットにはいわゆるネット右翼による“朝日は反日メディア”というキャンペーンが昔から続いているからだ。記事はその肝心なところをさらりと流している。そういう誤魔化しは、“雑誌の信頼度”という点で果たしてどうなのか。ある種“天に唾する記事”なのではないか。


 新潮は、『食べてはいけない「国産食品」実名リスト』の第8弾を掲載し、『ご都合主義「週刊文春」も添加物の発がん性を認めていた!』として、前週の文春による批判に反論した。ただし、内容は添加物の量と危険性にまつわる専門的過ぎる主張であり、もはや「食と健康」の素人には、どちらの言い分が正しいのか、判別不可能だ。このテーマ、もちろん熱心な読者もいて、だからこそキャンペーンが続くのだろうが、健康管理を半ば放り投げている自堕落な私には、もはやフォローするのもしんどい話になっている。


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 三山喬(みやまたかし) 1961年、神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。98年まで13年間、朝日新聞記者として東京本社学芸部、社会部などに在籍。ドミニカ移民の訴訟問題を取材したことを機に移民や日系人に興味を持ち、退社してペルーのリマに移住。南米在住のフリージャーナリストとして活躍した。07年に帰国後はテーマを広げて取材・執筆活動を続け、各紙誌に記事を発表している。著書は『ホームレス歌人のいた冬』『さまよえる町・フクシマ爆心地の「こころの声」を追って』(ともに東海教育研究所刊)など。最新刊に沖縄県民の潜在意識を探った『国権と島と涙』(朝日新聞出版)がある。