米・Stanford Universityが、自閉症児が苦手とする相手の表情から真意を読み取る技術が搭載されたGoogle Glass(グーグルグラス)用の専用アプリを開発したという(Medical Tribune 8/15)。


  この記事を読んだとき、いずれはMRにグーグルグラスを装着させる企業が出てくるかもしれないと感じた。相手の医師の表情を分析して、「製品説明をする状況ではない」「まったく興味を持っていない」「興味を持っているので資料Aを紹介してください」とMRにアドバイスをすることができそうだ。  また、業界の規制がエスカレートするとディテーリングを録音するか、AIを活用して、面談中に“適応外”のキーワードが出た時にMRが持っているデバイスやグーグルグラスが警告マークを出すという技術が導入される日も、そう遠くはないだろう。


  これらの近未来が訪れる前に、医薬品情報伝達の方向性がどうなるのか。8月30日に出演したユート・ブレーンセミナー「製薬企業の営業とMRのあり方を考える」の中で紹介した「各種医薬品情報伝達の方向性」をシェアしたいと思う。 


  まず、MR to Drの情報提供はMR数の減少とDr側の受け入れ状態等により縮小は避けられない。②のMR to Ph(薬剤師)to Drは、認知症やてんかん等で行われているチェックシートの普及などにより“掘り起し”に薬剤師を活用する手法だ。ほかにも、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症など、疾病管理の該当となる疾患は、薬剤師が掘り起し、医師につなげる役割を期待したい。


  Dr to Drは、企業が主催・共催するリアル講演会は減少していくことになりそうだが、スポンサーをつけない医師同士のコミュニティは増えそうだ。 “e ”to Drは、WEB講演会や企業によるオウンドメディアの拡大が期待される。各種コンテンツを医薬品卸のMS経由で案内をすることで、MSディテールの向上→採用軒数の増加につながっている事例も増えている。


  最後の“e ”to Ph to Drは、②のMR to Ph to Drの“e ”バージョンになるが、あまりMRを活用できない後発医薬品や中小メーカーを中心に活用されそうだ。

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川越満(かわごえみつる)  1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。