人口1億3000万人の日本では店舗であろうが、職業であろうが、「6万」に達すると、それがピークになり、後は減少の一途をたどるらしい。ある薬科大の元理事長の説である。


 元理事長氏によれば、「コンビニより店舗数が多い薬局は6万軒を超えたことで、今減少に向かっている。調剤に進出したドラッグストアに浸食されているが、ドラッグストアも買収や合併で数社に整理統合されるだろう」と言う。ついでに6万人に達しているMRも限度を超えている状態で、製薬会社の経営状況の如何にかかわらず、減少するという。MRの6万人という人数はアメリカと比べても多すぎる、ネットの拡大で不要などと言う人もいるから、減少するのは当然だろう。


 ところで、薬局に続いて店舗数の多いコンビニも6万店に達しているそうで、過剰だと言う声がある。ざっと、大手コンビニの店舗数を上げれば、トップのセブンイレブンは2万904店、ファミリーマートはサークルKサンクスと合併して1万5502店に増加して2位。3位に落ちたローソンは1万4663店を数えている。この3社が大手で全国の店舗数の80%を占める。加えて、大手商社が保有株を増やしているそうで、ローソンは三菱商事、ファミリーマートは伊藤忠商事が50%を超える株数を保有している。


 昨年からコンビニの不祥事が多発している。アルバイト店員の不祥事や本社の社員が売上げを増やすために勝手に本社に商品を注文したりした不祥事だけでなく、フランチャイジーの社長が人手不足と夜間の売上げ減などで24時間営業をやめたい、という声が上がっている。声を上げたフランチャイジーは契約を解除され、目下、仮処分請求で争っている。こうした不祥事や問題が噴出したのもコンビニの数が6万店という限界に達したからからもしれない。では、この大手3社以下のコンビニはどうなるのだろう。


 先日、ある人物からこんな話を聞いた。イオン傘下のコンビニである「ミニストップ」は「近々ある商社に売却されるだろう」というのだ。ミニストップは2185店を擁し、4位のコンビニだが、大手とは店舗数で大きく後れをとっている。イオンが本業のスーパーのテコ入れに追われていたことと、コンビニの発展を軽く見ていたためらしい。


 後日、「マイバスケット」なる食品中心の都心型の小型スーパーを246店舗ほど展開したが、どうやら消費者にはコンビニほど便利でもないし、中途半端な店舗と受け取られているようで伸び悩んでいる。このマイバスケットも一緒に売却するだろうとも言う。


 イオンのトップである岡田元也社長(3月1日付で代表取締役会長)は頭のいい人だ。彼の目には「コンビニは6万店に達し、もはや現在以上に伸びない。ここら辺がミニストップの売り時だろう」と見たのかもしれない。売却先は商社と噂されているが、一昨年、イオンは10年以上に亘って提携していた三菱商事と提携関係を解消。今は手が切れている。


 どの商社になるか楽しみだが、ミニストップをファミリーマートが手に入れれば、あるいはローソンが自社店舗に加えれば、どちらもセブンイレブンを抜いてトップに立てる。コンビニの優劣は商品や店員の質などにもよるが、業界トップになれば社員の意識が変わる。スポーツと同様、トップと2位、3位とは大違いなのだ。社員自身が自信にあふれるようになり意欲的にもなる。


 さて、情報が事実かどうかは保証しない。企業の合併話は出るか出ないかわからないことから“幽霊話”という。冬には幽霊は不似合いだが、このところ暗い話題ばかり噴出しているコンビニ業界に面白そうな推理話があってもいいだろう。(常)