「ここ1~2週間が正念場っていつまでのこと?」「今、(日本の状況は)患者数のカーブのどこにいるの?」先週は時折、そうした声が聞かれた
官邸の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」が「今後1~2週間が感染抑制の瀬戸際」との見解を示したのが、2月24日。全国の小中高等の休校実施が3月2日。対策の実施から感染者・患者報告までのタイムラグを10日とすると、今週半ば3月11日頃以降に変化の兆しが見え始める計算になる。
3月8日現在、感染者数・死亡者数の新規報告は、中国が46人と27人、中国以外の101か国計で3,610人と71人だ。感染者数は各国の検査体制や実施数の違いもあって単純比較できないが、中国が減少傾向に転じているのに対し、日本の変化はまだなんとも判断しにくい。
3月6日から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2、旧仮名称2019-nCoV)のPCR検査に公的保険が適用されたが、検査の位置づけについて国民が十分に理解しているとは言い難い。他国はどんな説明をしているのか、WHOや欧州と米国の疾病予防管理センター(ECDCとCDC)を調べてみたところ、CDCの文書が最も特徴的だった。
注目すべきは、検査を行う疑い患者にも「偽陽性」と「偽陰性」が生じる可能性を明言し、その場合にも担当の医療従事者が「あなたの状態を総合的にみて最善のケアを行う」と述べている点だ。医療従事者に対しても、「検査陰性」は「検体内に検出限界以上のウイルスRNAが存在しなかったこと」を意味し、臨床経過や症状、渡航歴や濃厚接触者等からCOVID-19の可能性を除外しきれない事例では、「再検査も考慮すべき」としている。
検査に「偽陽性」「偽陰性」が生じうることを前提にしている国にしてみれば、クルーズ船内隔離後に検査陰性になった人を公共交通機関で帰宅させるという対応は、さぞ非常識に思えたことだろう。
厚生労働省 「新型コロナウィルスに関連した感染症の現状と対策」(令和2年3月7日)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r020307.pdf
下記より今週の動きが閲覧できます(動画)
https://player.vimeo.com/video/396398762/
[2020年3月9日午前9時現在の情報に基づき作成]
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記事・動画作成:本島玲子(もとじまれいこ)
「自分の常識は他人の非常識(かもしれない)」を肝に銘じ、ムズカシイ専門分野の内容を整理して伝えることを旨とする。
医学・医療ライター、編集者。薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師。