4月6日現在、特措法に基づく「緊急事態宣言」まで秒読み段階に入った。
背景には、4月1日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が「感染拡大警戒地域」として挙げた東京都と大阪府で感染者が急増し、神奈川県、愛知県、兵庫県を加えた5都府県をはじめとする感染拡大地域での医療崩壊を何としても防がねばならないという切迫した事情がある。
首都東京では、過去5日ごとに感染者が倍増し、4月5日には累計1,034人となった。都の公開データをもとに感染者の年齢構成の変化をみると、直近の3月29日から4月4日は20代の感染が約4割を占めた。また、小池都知事は感染経路が追えない例の増加に焦燥をあらわにしている。
感染症指定医療機関の感染症病床数は、絶対数だけみれば都市部が多いが、単位人口当たりの数を比較すると、専門家会議が「医療提供体制が切迫しており、今日明日にでも抜本的な対策が必要」とした5都府県は少ない。特に感染者の指数的増加で危機が迫っている東京都は、軽症や無症状の検査陽性者を経過観察するための宿泊施設確保を急いでいる。
「緊急事態宣言」後、対象区域ではこれまでより長い期間を区切って「緊急事態措置」が実施されることになりそうだ。その渦中で、政策や医療現場での対応方針を決める立場になくても、各人が医療崩壊を阻止し、自分が生きる社会を守るためにできることはある。それは、「感染しない」「感染させない」行動で生活の場から医療の場へと流れ込む人数を少しでも少なくすることだ。
長期の外出自粛で懸念されるのは、誤った情報の蔓延「infodemic」だ。そんな折り、専門家有志のメンバー21人が情報サイトを立ち上げた。政府の専門家会議メンバーや、テレビ番組の解説などで見かける顔ぶれも多いが、官邸や厚生労働省の発表という形では、特に若年層に伝わらず行動変容につながりにくいという問題意識の表れかもしれない。利用者も情報を得るだけでなく、サイトへのコメントなど双方向の仕組みを通して、どんな疑問があるか、必要な情報は何か「発信」していく必要がある。
【基本リンク】
◎厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」→関連情報を集約[2020年4月6日アクセス]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
【最新リンク】
◎コロナ専門家有志の会[2020年4月6日アクセス]
下記より今週の動きが閲覧できます(動画)
https://player.vimeo.com/video/404486910/
[2020年4月6日12時現在の情報に基づき作成]
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記事・動画作成:本島玲子(もとじまれいこ)
「自分の常識は他人の非常識(かもしれない)」を肝に銘じ、ムズカシイ専門分野の内容を整理して伝えることを旨とする。
医学・医療ライター、編集者。薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師。