大阪府は2月28日、初めての新型コロナワクチン集団接種訓練を大阪市内で行った。医療従事者、府下自治体職員など約500人が参加した。訓練を通じては、予診段階で接種者が「お薬手帳」を持参することが非常に重要との認識が共有された。


 訓練は医師会、薬剤師会、看護協会、病院協会の各団体から、医師10人、薬剤師6人、看護師22人の医療従事者が参加。区役所職員49人も運営側として参加した。非接種者は地元住民の浪速区民が参加したほか、問題行動を起こしたり、認知症などの非接種者を演じるエキストラも加わった。また、医療系団体から62人、府内の区、市町村職員も250人ほどが見学した。訓練は午前と午後の2回行われた。


 会場規模は自治体規模の違いを想定して、大規模会場のスポーツセンターサイズ(1200㎡)と、小規模の区民センターサイズ(600㎡)2会場を設営。大規模会場では、パーテーションで区切った予診室6室、接種室は4室を用意。小規模会場はそれぞれ2室だった。また双方ともに複数以上の救護室が設置された。


 接種の流れは、受付・記録、予診票確認、予診、薬剤充填・接種、接種済票発行、接種後状態確認の順で行われた。このうち予診は医師が2交代制で担当し、接種・接種補助は看護師が受け持った。また薬剤師は、予診票確認、薬剤充填、状態観察を担い、看護師は予診以外の業務を担ったり、補佐したりした。




 訓練後の振り返りでは、予診に時間がかかることが課題としてクローズアップされ、医師側からは、予診票段階でかかりつけ医の諾否があいまいなことを解決すべきとの指摘があったほか、医師、薬剤師ともに予診票、予診を通じて「お薬手帳」が重要な位置づけになるとの認識が強調された。またお薬手帳にアレルギー既往を加える工夫も非接種者にアピールする工夫も求められた。


薬剤充填を見る吉村知事


 大阪府の吉村洋文知事は訓練後、「ワクチンは社会経済を元に戻すゲームチェンジャー。4月上旬からとりあえず7万人の医療従事者への接種を開始する計画を順調に進めたい」としたほか、こうした訓練を通じて集団接種のマニュアル作成などにつなげる意欲を表明。医療従事者への実際接種も訓練の一環として捉え、4月末からの高齢者等への本格接種までにブラッシュアップを継続していくとした。


最後の状態確認


 また、大阪府医の茂松茂人会長は、訓練を通じて情報を共有していくとの認識を示したほか、個別接種についても集団訓練で学んでいくと、訓練の重要性に理解を求めた。


 所要のため、短時間の見学にとどめた府薬の乾英夫会長は本紙に、訓練を通じて薬剤師の担当業務は集約されてくるとして、会員薬剤師のトレーニングを目的に動画マニュアルを作成しユーチューブで配信する準備を進めていることを明らかにした。