大阪府薬剤師会は25日、後発医薬品の供給問題をテーマにした研修会をWebで開催した。メーカー側の日本ジェネリック製薬協会の担当者からは、小林化工、日医工その他の不祥事の影響は後発医薬品全体所生産量の1割の減少影響を与えたとし、協会会社の一部が11%の増産を図っているが、現状のキャパシティでは2年が精いっぱいであり、生産体制強化についても沢井製薬の200億錠体制、東和薬品の175億錠体制が整備されるまでは3年を要するなどの説明があり、流通不安解消への先行きが見通せない状況が示された。


 研修会では、10月18日に、後発医薬品の供給不安に対する会員アンケート調査結果を公表した大阪府薬、行政側から大阪府薬務課、卸からは大阪府医薬品卸協同組合、メーカーからGE薬協が講師として参加、対応や今後について語った。


 大阪府薬の羽尻昌功常務理事は、会員調査結果の概要を報告したうえで、希望した後発品が発注数通り納品されている薬局は1%未満であり、9月調査時より事態は改善していないとの見通しを示した。そして 過去経験したことがない供給状況であると強調したうえで、患者だけでなく医師・歯科医師にも不安はさらに拡大していること、休薬などの場面が出現し、災害にも匹敵するとの危機感を訴えた。


 大阪府薬務課の長野優里氏は、10日に出された厚労省医政局経済課通知などをベースに、安定供給に向けた行政の取り組みを説明。また、地域フォーミュラリ策定など大阪府が独自で進める19年度から5ヵ年計画で進めている後発医薬品使用促進策について、現在のロードマップを一部変更し、軌道修正する方針をあらためて明らかにした。


●業務務停滞招く卸業者


 大阪府医薬品卸協同組合の梅崎弘一郎氏は、後発医薬品の欠品、出荷停止状況について、日立物流火災の影響もあって、現在は3000品目を超えることを明らかにした。そのため、卸の日常業務は、毎朝品切れ品目の確認、代替品の確保、在庫確認などで、数時間を要し、特に月曜日、月初は大混乱していると訴えた。また、処方元(医療機関)にこうした混乱が伝えきれていないとのコミュニケーション不足も指摘、「時間と資金と工夫を強いられている」状況が継続しているとした。


 安定供給に向けては、品切れ、在庫状況の情報を迅速に得意先へ伝える、代替品に関する相談、月平均実績の確認による供給の偏りをなくすなどとともに、特に処方元への情報提供を、薬局・卸・メーカーが一丸となって取り組む姿勢が必要だとした。


 今後の状況観測については、年末年始時の長期処方時の欠品への懸念、先発品、AG品への集中に伴う出荷規制品の拡大、後発品促進策の後退が招く患者負担増、追補収載品への疑心暗鬼が採用を消極化させるのではないかとし、特に今後の後発品企業の追補収載品への影響を懸念していることが強調された。


●GE薬協はメーカー間の生産調整相談オープン求める


 メーカー側から説明に立ったGE薬協の田中俊幸氏は、7月にスタートした公益通報制度など、協会の取り組みを詳しく語った。


 このなかでは、自主点検が生産体制に与えた影響、新型コロナウイルス感染症によって、ワクチン副反応対策でアセトアミノフェンが不足したこと、ロックダウンによって海外依存している一部原薬の不足が起きたこと、日立物流の火災などの要因が複雑に絡み合って、メーカーの増産努力が報われてない状況にも理解を求めた。


 一方で、メーカー団体として困っていることとして、メーカー間で生産調整に関する相談が、独禁法の壁があってできない点を挙げ、「民間だけでは解決できない」として政府マターでの対応を暗に求めた。