医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHM、中村祐輔理事長)は14日、大阪府立病院機構の大阪国際がんセンター(松浦成昭総長)、大阪母子医療センター(倉智博久総長)の2病院と、同日付で連携協定を締結、3者で記者会見した。


 連携協定はそれぞれの病院とNIBIOHM間で交わされた。大阪国際がんセンターとは、新規のがん診断・治療・予防法の開発、QOL向上に向けた保健・栄養指導等の開発を目的に謳った。母子医療センターとは、母子に関する疾病の原因解明・治療法の開発、急性期治療終了後の患者の生活の質改善に寄与する研究を目的とした。


左から松浦氏、中村氏、倉智氏


 会見でNIBIOHMの中村理事長は、協定の目的は臨床現場を持たない研究機関が、臨床側と連携するというシンプルなものだとし、がんセンターとはゲノム医療開発を主に「患者との協働」という視点も持ちたいとの認識を強調。母子医療センターとは難病の遺伝子研究などでの研究連携を例に挙げた。一方で中村氏は、大阪は東京に比してバイオソースが少なく、ゲノム研究は遅れているとの課題を提示、臨床現場との協働で研究を進捗させ、臨床の医師を研究機能がバックアップするシステムを、大阪から発信したいとの意欲も示した。


 大阪国際がんセンターの松浦総長は、同センターでの入院・外来のがん患者は年間1万2000人程度に及び、200人程度が死亡している状況を語りながら、遺伝子の専門家である中村氏が理事長を務めるNIBIOHMとの連携による、画期的な治療法開発に期待を示した。また、こうした連携で医薬品産業も集積する大阪のネットワークの強みも活かしたいと強調した。


 大阪母子医療センターの倉智総長は、すでに同センターには国際的に評価される4つの研究組織があることを示しながら、小児難病の病因追究などにNIBIOHMとの連携でさらに研究に深味を得たいとの期待を示した。