大阪公立大学大学院医学研究科の感染症研究グループは11日、新型コロナウイルス感染後、1年が経過しても半数以上の人に何らかの後遺症が残っていることを明らかにした。新型コロナに関する後遺症報告は海外で多数公表されているが、国内の研究報告は少ない。


 感染時の重症度とは関係なく、倦怠感や味覚・嗅覚異常、抜け毛、睡眠障害などの後遺症状がみられ、重症化リスクが低くても感染を軽視すべきでないことが明らかになった。


 この報告は昨年12月27日付で「Scientific Reports」にオンライン掲載された。


 この研究報告は、大阪市内の大阪公立大附属病院(旧大阪市大病院)、大阪市立十三市民病院、大野記念病院、旧阪和第二病院(現・阪和病院)、ベルランド総合病院の5病院で20年1月~12月までに新型コロナ感染と診断された285人を対象に、感染後1年の状況をアンケート調査した。調査は21年初頭から後遺症に関する研究・専門外来を開始した大公大の井本和紀講師らが行った。


 研究結果では、対象者全体の56.1%に1つ以上の後遺症があり、感染時に無症状や軽症だった人でも52.9%に、中等症や重症だった人では57.5%に後遺症がみられた。


 後遺症状は無症状者・軽症者では倦怠感や抜け毛、集中力・記憶力の異常、睡眠障害が10%以上の割合でみられ、中等症・重症者では、呼吸困難、味覚障害などの異常が加わっていることも明らかになった。


 後遺症状と危険因子の関連では、持病などが感染時重症度に非常に強く関連し、後遺症でも喀痰、胸痛、呼吸困難、咽頭痛などがみられた。一方、倦怠感や味覚・嗅覚異常、抜け毛、睡眠障害は危険因子との関係は小さく、軽症でも残ることがわかった。


 大公大の新型コロナ後遺症専門外来は今後も継続される。