大阪府薬剤師会は17日、「後発医薬品に関する流通及び対応状況に関する調査」の結果を公表した。後発医薬品の供給と薬局への影響に関する調査は2021年に続いて2回目。卸の納入状況に関しては、71.3%が調剤業務に影響が出る不安を訴え、21年の67.8%を上回った。発注ができない品目数も増える傾向があることも明らかになった。


 同調査は昨年11月18日から30日にかけて、大阪府内の全会員薬局の管理薬剤師、開設者(3568)を対象にウェブアンケートで行った。回収数は1686、47.25%。回答数は前回を142上回った。なお前回調査は21年10月に行われている。


 後発医薬品の「現在の卸の納入状況」は、「発注数通りに納入」は2件、0.1%にとどまり、前回の0.5%からさらに減った。「発注数通りではないが調剤業務に影響が出ない範囲」との回答は9.8%(前回7.3%)、「納品が滞り、調剤業務に影響が出る場合がある」は71.3%(67.8%)、「製品が流通していないため発注ができない場合が多くある」は18.7%(24.1%)。


 納品が滞る場合がある、発注できない場合があると回答した1518人に対し、卸の説明状況を聞いたところ、在庫はあるが販売先指定されている、在庫がない、入荷次第、出荷調整などの説明が多い。発注時ではなく納入日に説明されたというケースも半数みられた。


 納品が滞っていると回答した1203人に、その品目数を訊くと、6~20品目との回答が最多で74.4%だった。21年調査では5~19品目との回答が45.6%で、安定供給できない品目数が増加傾向にあることも明らかになった。「発注ができない場合もある」と回答した365人の回答も同様傾向。


 薬局としての供給不安定品目への対処については、複数メーカー品を患者ごとに使い分ける、先発への変更が多数を占めた。患者の説明に対する反応は、「納得した」が最多で、先発への変更にも抵抗はなかったが、制度への不信、負担増に対する不満が示されたとの回答も300件を超えている。


 納品が滞っている、発注ができないと回答した1518人に「現在入手困難な医療用医薬品の品目数」を訊いた結果は、11品目以上との回答が23.4%を占め、前回の10品目以上10.8%を大きく上回っており、この設問でも供給不安の拡大傾向を示した。


 回収情報に関する設問では、回収情報は大半が卸から得ており、代替品に関しては卸から提案を得ている薬局が多いが、自局で対応策を立てたとする回答も688あった。回収された医薬品、当該企業への対応では「企業の改善状況をみて再採用も検討」が最多。


 今後の医薬品採用時の条件は「安定供給」重視が最多で、現状の供給状況全般に関する受け止めは、「改善している」は199人しかなく、1487人は「変わらない」、「状況は悪くなった」と答えている。


 患者への供給不安の影響に関しては「患者負担増」、「入荷待ちによる薬剤交付の遅延」、「処方医との協議時間の延長」などが上位を占めた。


●大阪府薬は後発医薬品使用促進策に「歪」とコメント


 自由記載欄では、患者への迷惑を挙げる薬局が多く、薬局同士の連携を訴える一方で、大手薬局の「買い占め」を指摘する声もあった。制度に対する不信や、後発医薬品使用促進策に対する否定感が強く出されたのも特徴。


 今回調査では入手困難な品目に関しても調査し、後発医薬品(一般名)ではアセトアミノフェンなど解熱鎮痛剤が上位を占め、先発医薬品では解熱鎮痛系の医薬品などに続いて漢方製剤の入手難が上位を占めているのが目立つ。


 大阪府薬は同調査の「考察」を通じて、国の後発医薬品使用促進策に「歪さ」を感じる薬局が増えているとの見解を付した。またメーカーの許認可システムへの不信、薬価改定への不信、国民への状況周知が足りない――など、国への不信が薬局側から高まっているとの認識を強調。現状の医薬品供給不安は、「医療災害」であり、薬剤師業務への支障と患者の不信は「国民の不利益につながる負の循環」だとして、迅速な対応を関係機関に求めた。