昨年4月に内閣府から「グローバルバイオコミュニティ」に認定された「バイオコミュニティ関西」(Biock)は1日、4回目の委員会を開催し、新たに4つの分科会がスタートしたことが報告された。BiocKの分科会は22に増えた。
新たに発足した4分科会のうち、医療関連では澤芳樹・大阪大学特任教授を代表者とする「再生医療分科会」が発足。京都・大阪・神戸のアカデミア研究機関の連携を形成し、企業・官公庁の参画も促して、オープンイノベーションのためのコンソーシアムを形成することを目的に掲げる。議論の場としてのサロン的役割も果たす。Biockの細胞製造分科会との連携で社会実装の推進も掲げた。リーダーは京都大学iPS細胞研究所の髙橋淳所長と、木村徹・住友ファーマ専務が務める。
食事管理、運動支援などのヘルスケアをデジタル・トランスフォーメーションで進める「ライフスタイルDX分科会」はサントリーグローバルイノベーションセンターがリーダー機関。第1段階として腸音解析技術の社会実装をスタートさせる。
●大阪万博は入場者約3000万人目標
この日の委員会にはゲストとして、内閣府審議官で科学技術・イノベーション推進事務局局長補の渡邊昇治氏、日本国際博覧会協会の機運醸成局長の堺井啓公氏、京大の湊長博総長が招かれ、講演した。
渡邊氏はBiockへの資金的支援を国として検討していることを明らかにし、まとまり次第報告することを約した。
堺井氏は来年4月13日に開幕し、半年間開かれる大阪万博の準備状況を説明。25国際機関、150ヵ国が何らかの形でパビリオン参加することを明らかにした。1年前となる本年4月13日にはパビリオン敷地の引き渡しや前売入場券の発売も始める。ドバイの万博ではコロナ禍のなかでも入場者が2400万人超まで伸びたことを示し、大阪万博では国内から2820万人、海外から370万人の入場者を目標としていることも明かした。
●医薬品開発は「見逃し」「魔の川」段階の認識必要
湊氏は医薬品開発を軸に、大学研究者の研究開発力を涵養するには、資金調達、ライセンス、オープンイノベーションの各段階で「研究者にやらせない、研究者に随伴する専門家の育成」を強調、プロジェクト・クリエイティブ・マネジャー(PCM)育成の必要を説いた。また、医薬品研究開発では「死の谷」のリスクばかりが認識されているとして、その手前にある「見逃し」でのシーズ等の埋没回避、「魔の川」(インキュベーション段階)でのマネジメントや資金的支援不足などのステップにも関心を求めた。