滋賀県は3日、22年度の後発医薬品安心使用促進協議会を開いた。滋賀県の調剤医療費における後発医薬品割合は22年8月時点で83.1%(数量ベース=全国31位)で、全国平均(82.9%)よりわずかに高く、近畿圏では最も高い。


 県は昨年10月に実施した県政モニター(297人)を通じた「医薬品の適正使用についてのアンケート」(回答者数235人)から後発医薬品関連の結果を報告。17年度にも同様の調査が実施されており、5年後との比較も示されたが、後発医薬品の使用、使用促進については4分の3以上が肯定的で、5年間の推移でも変化はなかった。


 ただ、後発医薬品の使用経験は、昨年は9割近くに達して5年前より10ポイント以上増えた。また「説明」に関しては「医師」のウエイトが大きく減り、薬剤師を重視する人が7割に達し、後発品が処方箋調剤として浸透した状況を示している。


 協議会での論議では、後発品使用促進は一定の目標に達したとの見解や、最近の医薬品供給の不安定に関心が集中した。


 使用促進目標に関しては、数量ベースで全国的にも80%を超える水準であることから、医療側関係者を中心に、「差額通知など使用促進運動はもうやめてもいいのでは」との問いかけもあった。協議で保険者団体から差額通知と、それによる切り替えや財政効果額に関する報告が相次いだことへの反論的なニュアンスも強く、「後発医薬品の供給不足から先発に切り替えたり戻したりする影響」を指摘する主張もあった。保険者の一部からは、使用割合が80%を超えるなかで、効果測定を見直し、再検討するとの表明があった。


●後発医薬品企業は市販後直後検査を


 後発医薬品の不祥事と、それに伴う供給不安に関しては、講師で招かれた日本ジェネリック製薬協会(JGA)の田中俊幸氏が、信頼回復に向けたJGAの取り組みを説明。全品目カバーができていない状況や、卸とのデータシステムの不備などの解消に努めていくとの認識を伝え、22年7月から新設したJGA特設サイトの活用も求めた。後発品供給能力としては現在100億錠が不足しており、この充足には今後3年かかることを改めて説明した。


 一方、促進協議会に製造販売者側委員として参加している大原薬品工業の大原誠司社長は、後発医薬品企業には構造的課題があるとして、市販後直後の検査を企業自体がやることを提唱。また、日本では後発医薬品への迅速な切り替えを進めるためのシステムが不完全だとして、AGを活用した一定期間の独占販売を通じて、広範な製造・流通体制を整備する戦略なども提案した。