大阪府薬剤師会が18日に開いた地域フォーミュラリに関する地域薬剤師会担当者説明会では、大阪府の支援を受けたモデル地域として先行した八尾市や、22年度からモデル地域として検討が始まった大阪市天王寺区、高槻市の薬剤師会から報告が行われた。全体に、三師会いずれの側にも地域フォーミュラリに関する認識がまだ薄いこと、医師サイドには処方権に関して警戒が強いことも示された。



 ゲストで「かかりつけ医からみた地域フォーミュラリ」をテーマに講演した、日本フォーミュラリ学会の近藤太郎副理事長は、地域フォーミュラリはかかりつけ医がプライマリケアの医薬品を学べることや、非専門医も標準的な薬物治療が学べる、薬の「さじ加減」を地域で共有できるなど、作成はメリットが大きいことを力説した。そのうえで学会として、モデル・フォーミュラリの作成にも取り組むとして、ARBなど当面の候補10薬効群にトライする方針も明らかにした。


 18年度からモデル地域として地域フォーミュラリ作成を進めてきた八尾市薬剤師会の中野道雄会長は、地域フォーミュラリは「医薬品の有効性・安全性・経済性等を勘案し、医師が医薬品選定時に参考として用いる医薬品リスト」だとの位置づけを明確化し、医師に強制するものではなく、医師の処方権は侵さないとの「定義」の明確化が、三師会が協働して検討を進める前提になることを強調した。


 八尾市での地域フォーミュラリ運用状況も報告され、21年に、PPI、P-CAB初版、抗インフルエンザ薬が作成され、22年にPPI、P-CAB第2版、HMG-CoA還元酵素阻害薬、23年にはPPI、P-CAB第3版、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬が作成、運用されてきた。現在は第2世代抗ヒスタミン薬の作成が進められている。


 新たなモデル地域となった天王寺区薬剤師会(津田宜志会長)は3月までに三師会による地域フォーミュラリ委員会を立ち上げた経緯などを説明。フォーミュラリ学会や八尾市などの先進フォーミュラリを参考にしながら検討を進めているとした。ただ、作成する薬効群については、「天王寺区では呼吸器内科の開業専門医が少ない」との地域状況から、「薬効群ではなく疾患群から作成する」着目点を表明。それにより作成するのはH1ブロッカー、ロイコトリエン拮抗薬になるのではないかと報告した。


 津田氏は、フォーミュラリ作成に際しての最大の障壁として、後発医薬品が販売されている医薬品群の「使用量調査」を挙げ、医薬品卸、メーカーの協力が得られにくい実情を報告。大阪府薬務課が地域単位での使用実態調査を検討していることに期待を示した。


 22年度からのモデル地域のもうひとつである高槻市は、薬剤師会の三宅良宏副会長が報告。現状は薬剤師会員へのアンケートや、地域三師会が参加する講演会などの実施で地域フォーミュラリの認知を進める活動が中心となっている。


 ただ、導入に向けた疾患群の候補をPPI、尿酸生成抑制薬、鎮痛剤、ビスホスホネートの4領域に絞っていることは明らかにした。