大阪府薬剤師会の乾英夫会長は9日の定例会見で、調剤外部委託に関する国家戦略特区による検討要請が内閣府に出され、4月4日に厚生労働省が否定的な回答を示していた問題で、大阪府薬はもともと外部委託には反対の立場だとして、ガイドラインの検討を進めている厚労省の動向を踏まえることを改めて強調した。


 これは国家戦略特区等提案として、大阪府や兵庫県で調剤薬局を展開するファルメディコ(狭間研至社長)が内閣府に提案していたもので、4日に厚労省回答が示された。


 ファルメディコの提案は、「保険調剤業務の一部を外部委託する」ことを実施内容としており、薬剤師による対人業務を充実させるため、対物業務の効率化を進める目的で、兵庫県の薬局や大阪府北部の薬局での調剤業務を府内の1薬局に委託して実施するというもの。調剤外部委託実施は挟間氏の持論で、内閣府規制改革推進会議でも、実施方を主張してきた経緯がある。


 厚労省の回答は、特区措置創設には地方公共団体の参画が前提になること、一部外部委託については昨年7月の検討会とりまとめを踏まえて制度設備に必要な検討を進めているとしたうえで、検討会まとめでは委託元、委託先薬局の範囲は同一3次医療圏内としていることから、その範囲で実施するとした。


 このため、ファルメディコの提案は地方公共団体が複数になること、3次医療圏内で完結できない提案であるため、実質的には不可能だとする回答となる。


●吉村知事の外部委託肯定発言は対応苦慮


 一方、大阪府の吉村洋文知事は4月26日、ファルメディコの特区提案について、大阪府民の便益性が確保されるなら積極的に検討してもいいのではないかとの趣旨の発言をしたことが一部で報道された。


 これについて乾会長は、吉村発言は具体性がないとして苦慮していることを示し、大阪府の意向は今後も注視する構え。同会長は「個人的には特区による外部委託は乱暴な議論だと思う」と述べた。