ブームに乗っかり一念発起、ゴルフを始めた業界紙記者・ガッチャン。野球で培った右旋回のスライスボールは、ブーメランのように手元に返ってくるほどで、1日にボールを何十個も失くす切れ味だ。


プロに指導を仰ぐことになったが、果たして「向上」できるのだろうか……?!


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「一体どんな人なんだろう」


〇月〇日、栃木県のあるゴルフ場にて。緊張で顔を強張らせたガッチャンのもとに颯爽と現れたのは、日本プロゴルフ協会(PGA)所属の大ベテラン・Mプロ。


「よろしくお願いします!」


ガッチャンが頭を下げるとMプロは一言。


「おう!じゃあさっそく行こうか」


てきぱきと行動力がはやい。ランドカーを運転するMプロと「何か運動やってたのか」「野球です」なんてご挨拶の会話を交わします。べらんめえ口調で物事をハッキリ伝えてくれるMプロのスタイルに体育会系の人間として一種の安心感も。そして間もなく、第1ホールに到着。


「それじゃあ、さっそく打ってみろ」


「うす!行きます!!」


スコーン。……フェアウェイど真ん中に向かって放たれたボールは、右旋回し森の彼方に消え去りました。


「すみません!まっすぐ打てないんです汗」


平謝りのガッチャンをMプロは一喝。


「バカヤロウ!じゃあ、曲がるボールが”いまのお前の真っすぐ”なんだよ!なんで左を向いて打たねえんだ!!!」


「え、まっすぐ飛ばせなかったことが悪いのではないんですか?」


「悪くない!そんなもん、すぐに直らねぇだろ!お前みたいなバカは自分を理解して動かないからよくないんだ!」


右に曲がるなら左を向けばいい、まずはいまのお前を受け入れろ。シンプルな教えに、ガッチャンは感激。


「はい!やってみます」


左向き左向き……。放たれたボールは如何に?!