大阪府と大阪市は6日、「調剤業務の一部外部委託」に関する国家戦略特区の創設提案を発表した。府市に加え、以前から外部委託推進を主張していた大阪府や兵庫県で調剤薬局を展開するファルメディコ(狭間研至社長)を軸に設置された「薬局DX推進コンソーシアム」が共同提案者となった。


 これにより調剤業務の外部委託が大阪での初の特区実証を経て、実質的に緩和される方向へ向かうことになる。大阪府薬剤師会は同日、あらためて強い違和感を表明した。


 薬局DX推進コンソーシアムは31事業者が参加した。特区での外部委託に関しては、内閣府の規制改革推進会議が昨年9月、薬局の調剤業務の外部委託を推進する方向を明確にし、今年4月4日に厚生労働省が否定的な見解を示した経緯がある。


 当時、大阪府薬剤師会の乾英夫会長は、調剤業務外部委託に強い不快感を表明、反対する姿勢を強調していたが、大阪府の吉村洋文知事が推進に肯定的な姿勢を表明、動向が注目されていた。


 今回提案されたのは、薬剤師における対人業務の強化(対物業務の効率化)で、特区事業推進場所は大阪市内の薬局。薬局の調剤業務の一部(一包化及びそのための薬剤の取り揃え)を他の薬局に委託する。厚生労働省研究班のガイドライン(暫定版)に準拠して実施する。


 事業効果としては、薬剤師の専門性の発揮(調剤後のフォローアップ、残薬解消、ポリファーマシー対策など)、地域包括ケアへの貢献や他職種連携、セルフメディケーション支援などが挙げられている。


●大阪府薬は反対姿勢変えず


 今回の特区提案について大阪府薬剤師会の乾会長は同日、あらためて強い違和感を表明、基本的に反対する姿勢を強調した。特に責任の所在が不透明で、医療安全面での危惧が払拭されていないことを指摘した。


 ただ、コンソーシアムのなかに委員会が設けられ、安全性、有効性、経済性について検討するミーティングが行われることから、今後はオブザーバー的な立場でこれらの検討に意見を述べる機会を得る方針も明らかにした。