大阪府保険医協会は17日、厚生労働省が9日の社会保険審議会医療保険部会で、後発医薬品のある先発医薬品の使用時に差額分を徴収する提案を行ったことについて、抗議する声明を出した。実質、医薬品の保険外しにつながるとの懸念を示し、負担導入案の撤回を「強く求める」としている。
声明は、厚労省が現行の選定療養制度を使うことで差額徴収できるとしていることについて、国民皆保険制度の根幹にかかわる重大問題だとの認識を強調、国会審議も経ない安易な提案だと非難した。
また、現在の医療現場が深刻な医薬品供給不足に陥っているとして、10月末に実施し9日に公表した会員医療機関へのアンケート調査結果を下敷きに、「他剤切り替え」や「休薬」などの影響を出ているとした。そのうえで、今年5月に開かれた日本ジェネリック・バイオシミラー学会で、厚労省課長が「医薬品供給不足の責任の一端は厚労省にある」や、「使用促進は拙速だった」と述べたことを指摘。そうした最中に今回の提案を出したことを言語道断だとした。
同協会が9日に発表したアンケート調査結果では、医薬品不足による弊害について、「他剤切り替え」による影響が71件、休薬せざるを得なかった56件、先発品への切り替えで患者負担が増えた27件などが報告され、先発への切り替えでは2件の「先発品拒否」例があった。
診療報酬上の影響については、禁煙外来への影響(16件)が多く、外来後発医薬品使用体制加算が算定できないとした回答も5件を数えている。