大阪府医師会など大阪府の医療系34団体でつくる大阪府地域医療推進協議会(会長・高井康之大阪府医会長)は22日、大阪市内で「国民医療を守るための集会」を開いた。集会では、医療介護分野における物価高騰・賃金上昇に対する取組を進め、そのための適切な財源確保を求める決議を採択、関係機関に送った。
集会では大阪府医の中尾正俊副会長が、近年の医療費の推移と新型コロナによる医業経営への影響などについて説明。財務省が9月27日の財政制度審議会分科会に提出した作成資料「最近の医療費の動向」のなかで、20年度は新型コロナ初年度で患者数が減少し医療費が「一時的に落ち込んだが、それ以降はコロナ前を上回るペースで医療費は増大している」としたほか、この3年間に補助金等の5兆円にのぼる巨額の国費が医療機関に交付されているとしたことについて、不妊医療など新たな保険適用された項目などへの言及がないとして、財務省の資料コメントを強く非難。
そのうえで、食材料費、光熱費等の物価高騰に対する財政支援が必要だとして、入院患者・入所者への食事療養等に対する補助金での財政支援、医療機関・介護事業所等に対する交付金での財政支援を岸田首相が秋の経済対策で対応するよう働きかけを各界に要請した。
とくに、財務省が9月の提出資料でコロナ補助金等の内部留保の積み上がりを賃上げ原資として活用する方策の検討を求めたことについて、賃上げはフローで行われるべきで、ストックで行うことはできないと反論したほか、診療所の1受診あたりの医療費が過去3年で4.3%に達しているとした財務省の「物価上昇率を上回る単価増」なども非難した。
高井会長は記者懇談会などもあわせて、23年度の春闘ベア3.58%、人事院勧告3.3%が実現したが、医療介護分野従事者900万人の賃金は1%台の上昇にとどまるとして、一貫して支援を求めた。診療報酬は公定価格であり、患者に転嫁できないなどの主張も示した。また20日に財政制度等審議会の建議で、診療所の診療報酬単価5.5%引き下げ、トータルでマイナス1%程度の引き下げを求めたことについても、「まったく容認できない」と厳しい非難を示した。