大阪府保険医協会(宇都宮健弘理事長)は29日、大阪市内で記者会見を行い、10月1日以降のオンライン資格確認・マイナカード保険証トラブル等に関するアンケート調査結果を公表した。同時に現行の健康保険証の2024年秋廃止の政府方針について、「併存」を継続すべきだとの見解を明らかにした。
政府のマイナカード総点検本部は11月末にも点検結果を明らかにするとの方針が伝えられており、それに先んじて、現状での「保険証廃止」に反対の姿勢をあらためて明確にした。
アンケート調査は11月17日に会員へのFAX送信で行われた。25日までに206件が回答、その結果を公表した。それによると、10月以降の資格確認のトラブルについて「あった」が60.2%を占め、なかったは37.4%だった。
トラブルありの主な事例をみると、「該当被保険者番号がない、資格情報が無効」が最多で86件を数え、「カードリーダーのエラー」45件、「名や住所の間違い」27件などが多かった。「他人の情報が紐づけ」も2件。またトラブルが「なかった」とした回答も実質的には、マイナ保険証利用者自体が少ないことも理由だとしている。
調査結果では、現行の健康保険証廃止後は「受付業務に忙殺される」と観測する医療機関が127施設に上り、来年秋の「保険証廃止」の政府方針には「併存すべき」68.4%、「当面延期すべき」16.5%、「保険証と紐づけすべきではない」も多数で、賛成する医療機関は6件にとどまっている。保険者からの返戻も13件報告された。
会見で宇都宮理事長は、現行の保険証でも受け付け業務は数秒しかかからないと、そもそもマイナカードとの紐づけのメリットは小さいことを強調。逆にエラーが重なると事務職員の業務負担増になり、窓口業務への影響も大きいとした。また、高齢者施設でのマイナカードの管理の難しさ、難病患者や高齢独居者のマイナカード移行のハードルの高さに対する配慮もないことを厳しく批判した。