大阪商工会議所と大阪公立大学は28日、「大阪公立大学を核に創る『未来社会の実験場』」をテーマにしたシンポジウムを開催した。大阪がめざすイノベーションと社会実装の仕組みをサブタイトルに掲げ、25年の創設を目指す大公大の中核施設、森之宮キャンパス以後の積極的な産学民の連携強化に関して、リビングラボの創設など具体的な取り組みがプレゼンテーションされた。
大公大は地域公立大学としては12学部を持つ総合大学。その広範さを武器に「総合知」を駆使して社会課題に立ち向かう姿勢をアピールしている。具体的には「スマート」を共通モットーに5つの共創研究ユニットをすでに立ち上げている。いずれも複数の学部が参画、全学ネットワーク型の拠点づくりを強調、いずれのユニットも積極的なAIの活用を表明している。
この日のシンポでは、未来医療、都市農業、健康長寿延伸の機能性補助食品開発に関して大公大からのプレゼンとパネルディスカッションを行った。
関心を集めたのは、健康科学イノベーションセンターの植田大樹特任准教授のAIを活用した画像診断技術開発。とくに植田准教授が取り組む「画像診断をサポートするAIのプラットホーム」を意味するEIRL(エール)の、民間企業(LPIXEL社)との共同開発研究では、国内初の深層学習医療機器として「Brain Aneurysm」が承認されたことが明らかにされた。
Brain Aneurysmは、くも膜下出血の原因の85%を占める脳動脈瘤を見つけることを目的に開発された。脳動脈瘤は3㎜以下とされ、繊細な読影が必要だが、上田准教授らはMRIの150枚以上の画像から深層学習したAIが探る機器を開発した。
植田准教授は2次元の胸部レントゲン画像からAI技術を活用した肺がん検出研究でも医療機器認証を受けており、医療AIの若手エキスパートとして期待が高まっている。