大阪府薬事審議会が7日開かれ、薬局薬剤師により薬剤レビューに関する積極的な取り組みや、市販薬の濫用対策などについて審議した。両課題については来年度中に具体的な「成果物」を作成する方針が行政側から示された。
薬剤レビューについて大阪府は、昨年8月にワークショップを開催し、その参加者によるレビュー実践が行われてきた経緯がある。府薬務課はこの日、大阪府薬剤師会が24日に薬剤レビュー研修会を実施することも報告した。
薬剤レビューに関しては委員の一部から、ポリファーマシー対策として今後有効な手段になるなどの期待が示されたのに対し、処方側の対応が期待できるのかとの疑問が示される一幕もあった。
これに対し、行政も含めた薬剤レビュー推進側からは、レビューが浸透すれば処方箋の疑義照会にとどまらず、処方提案にまで進めること、今後の電子処方箋などの普及によって患者情報へのアクセスや量的拡大が見込まれることなどに理解を求める考えが示された。また、薬剤師の6年制教育の現場では、薬剤レビューに照準を合わせたトレーニングが活発化していることも強調された。
●市販薬濫用対策は教育現場と連携も
いわゆるオーバードーズ対策、市販薬濫用に関しては全体に強い関心が示され、特に小学生を含めた若年層への注意喚起が必要だとの認識が議論の中心に。児童生徒だけでなく、保護者にも注意喚起する方法の検討、依存性対策を求める声もあった。一方で、30代以上の世代にも広がっているという指摘もあり、その対策も求められた。
大阪府薬の乾英夫会長はこれらの指摘に対し、薬剤師として適正使用に貢献するのは当然のことだという意思を強調し、教育現場との連携には府薬務課を通じて府教育庁とも連携する姿勢を表明。薬剤師会としても重要課題と認識していることを繰り返した。
●地域連携認定薬局の進行の鈍さに批判
このほかの審議では、23年12月末で280薬局にとどまっている地域連携認定薬局について、制度開始から2年半経っても目標の450薬局に届いていないこと、人口規模が同程度の神奈川県と80以上の差があることに批判が示された。
行政側は今後、患者だけでなく医療関係者への周知などにも対応していく意欲を示したが、基本的に府民の認知度が非常に低いとの指摘は複数の委員から示された。
●品質管理等の人材育成策の検討開始へ
23年度に検討が進められた「医薬品製造販売業GQP/GVP手順書<モデル>」の見直しでは、大阪府独自策として、同モデル「参考情報欄」に「逸脱の管理」を加えたことが報告された。改訂版手順書は関係団体や府ホームページを通じて府内製薬企業に周知する方針。
また24年度は、製薬関連企業の遵守事項違反が繰り返されている状況を背景に、「医薬品等の製造管理、品質管理及び安全管理を担う人材の確保・育成に関する検討」をテーマに会内部会で検討をスタートさせる。