大阪府薬剤師会は8日、昨年11月下旬に会員保険薬局の開設者、管理薬剤師を対象にした後発医薬品の流通とその対応状況についての調査結果を公表した。「発注ができない場合がある」深刻な状況は23年度にはさらに悪化、回答者の4分の1以上に達した。
同調査では、安定供給の状況と製品回収や承認取消となった製品の代替対処などの状況も訊いた。調査はWebアンケートで行われ、回答薬局は1628薬局で、会員全体の45.67%。回答者は管理薬剤師が85%を占めた。
調査は採用後発医薬品の「現在の納入状況」に関する選択肢を以下の4パターンに分けて、状況の的確な把握を工夫している。(A~Ⅾクラス分類は本紙)
A=希望した後発医薬品が発注通りに納品されている――2薬局
B=希望した発注数通りではないが、調剤業務に影響が出ない範囲で納入されている――74薬局
C=納品が滞り、調剤業務に影響が出る場合がある――1128薬局
Ⅾ=製品が流通していないため発注ができない場合が多くある――424薬局
府薬は21年度から同様調査を行っているが、A+Bは21年度8.0%→22年度10.0%→23年度4.6%で、C+Ⅾは92.0%→90.0%→95.3%となり、22年度の改善傾向から昨年は一転して悪化傾向となった。特にⅮは前年より7.3ポイント増えて26.0%と、供給不安は拡大している。
●1割以上の薬局で51品目以上が発注不能状態
C及びⅮに納品が滞る理由として卸から説明された理由では、「在庫がない」が最多(1443薬局)。「新規採用品注文だが、出荷調整のため」「一部納品できるが不足分は入荷次第」「販売実績がない」「メーカーが得意先への割当数を決めている」なども上位を占める。
Cを対象にした質問、現に納品が滞っている品目数については、6~10 品目が293薬局と最多で、11~15品目(213薬局)など、6~30品目との回答が集中した。51品目以上としたのは99薬局で、このクラスの8.7%。
対処方法に関しては「先発品への変更」が1050薬局と最多で、「複数メーカーを患者ごとに使い分け」とした回答も多い。
医薬品の変更に関する患者の反応は、「説明で患者は納得」「先発への変更に同意」で多くの薬局が患者の了解は得られている様子がみられるが、「納得したが製品変更に不安をもたれた」726薬局、「納得せず他店で調剤された」538薬局。制度への不信もみられる。
一方、Dの薬局では発注できない品目は6~10品目(93薬局)と最多で、Cの薬局とほぼ同傾向がみられるものの、51品目以上は66薬局で同クラス中の15.6%を占め、Cクラスの2倍近くになる。
対処方法は「代替品がないので処方医と協議して同種同効薬に変更」、「先発品に変更」が多数を占めるが、「規格変更」も3番目に多い。
患者の反応は、「説明で納得」「先発変更に同意」する割合が多いが、「不安を持たれた」「納得できず他店で調剤」のウェイトも大きい。このクラスでは、制度不信、医療機関の処方への不満、薬剤師への不信なども多く、供給不安の大きい薬局ほど患者への影響も大きくなる傾向がもみえる。
CとⅮクラスに訊いた特に入手困難な薬効分類は、「後発医薬品のみ」では解熱鎮痛消炎剤、総合感冒剤が上位を占め、後発医薬品以外では漢方製剤を除くと気管支拡張剤や鎮咳去痰薬の割合が大きい。全体では鎮咳剤、去痰剤などに不足傾向が強い。
●不祥事企業への対応では柔軟性も
全薬局を対象に訊いた「回収情報」に関しては、情報入手先は「卸から連絡」1439薬局だったが、「MR」も812あった。「PMDAの発表」511薬局、「大阪府薬から」63薬局のほか、情報を入手できなかった薬局も45を数えた。
回収や出荷停止企業が製造販売する医薬品に対する対応については、「当該企業の改善状況により再採用を検討」が1120薬局で多数。「品目によって検討」とする回答も多く、当該企業の忌避は104薬局だった。また製造販売企業の採用条件については、「安定供給」が1546薬局でトップ。
患者に対する影響については、「患者負担額の増加」を筆頭に、待ち時間が増えたことや、薬局自体の変更などが多数を占めている。回答数は少ないが、不安感・不信感の増大、クレーム、返品、ジェネリック医薬品そのものへの不信感などもあった。