医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)は大阪府摂津市の協力を得て、「健康・栄養とウェルビーイング」に関するコホート研究、「SETTSU STUDY」を16日にスタートさせた。18歳以上の摂津市民7万3000人を対象に、近くアンケート用紙を配付する。


 同スタディはアンケート回答者を対象に、身体活動量等の測定会を実施するほか、市が管理する医療、介護、健診、死亡などのデータを分析し、市民の生活習慣と健康課題をライフコース別に明らかにしたいとしている。医療費(レセプトデータ)などの個人情報も匿名を前提に市の協力を求める方針。NIBIOHNの倫理委員会の承認も得ている。


 NIBIOHNは18歳以上の市民を対象にしたコホート研究は「日本初」の試みだとしており、健康科学、予防医療の理系研究者と、社会学・心理学など文系研究者がコラボレーションする調査研究としては過去最大規模になるとしている。


 具体的研究内容例としては、孤独と健康の問題に焦点を当てるケースが想定されている。これまでにはなかった家族や近隣とのつながりのほかに、シェアハウスでの状況などにも関心を向け、疾病への影響のほか社会学的アプローチも重視する。


 近く送付されるアンケートについて、スタディのリーダー、小野玲・身体活動研究部長は4割ほどの回収率を期待していることを明らかにした。回収は3月末までに行う。秋頃にはアンケート結果をもとにした中間的な報告も想定している。


 摂津市との協力連携は、2043年度末を期限としており、現状では20年間を想定したコホートとなる。


 また、ミシガン大学を含む17の大学や研究機関が共同研究機関として公表されたほか、大阪府、摂津市の三師会も後援する。