これまで市民講座やメーカー主催の講演、セミナーなどをメインに取り上げてきた出逢いDI。今回は趣向を変えて、「第21回インターフェックスジャパン」について2回に渡って取り上げていきたいと思います。
アジア最大の医薬品製造機器・技術の商談展であるインターフェックスジャパンですが、21回目となる今回は、過去最多となる1400社余が出展したとのこと。出展企業は医薬品、医療機器メーカーはもちろんのこと、建設会社、印刷会社に金属加工会社、証券会社まで様々。多くのブースで、技術導入や技術相談、製造委託などを目指す関係者がプレゼンに聞き入り、商談の席についていました。
今回取り上げるのは、東展示場(A会場)で行われた「包装機械・包装資材EXPO」「製薬ITソリューションEXPO」「医薬品製造 受託サービスEXPO」。日頃から医薬品製造技術に縁遠い人にもインパクトのある展示内容の多かった、3つのEXPOについて取り上げていきます。
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最初に取り上げるのは、「包装機械・包装資材EXPO」で行われていた「RFID・バーコードフェア」です。
Suica、PASMOを初めとする交通機関向けの非接触型のIDカードシステムにより一気にメジャーとなった感のあるRFID(Radio Frequency IDentification)。ID情報を埋め込んだタグから、電磁界や電波などの無線通信(数cmから数mの距離)で情報伝達するシステムで、認証システムの利便性(一々、カードリーダーに読み込ませたりする必要がない)や、磁気認証システムのように安易な偽造を許さないセキュリティ面の高さから、ここにきて急激に普及しつつあります。
IDチップの小型化も進み、現在では「小さなアンプル内に入れられるIDチップ」も実用化されてきました。マクセル精器<http://www.maxei.co.jp/>の展示では、「2.5mm角」という極小チップが登場<http://www.maxei.co.jp/products/coc/index.html>。この小さなチップのなかに精密アンテナを一体形成されていて、ID認証であるため接点劣化の恐れも少ないことしています。実際、試験管やアンプルにそのまま入れることができるため、試薬管理や検体管理には絶好のシステムといえるでしょう(写真1)。
IDチップの展示では、NECやサンテックなど数多くのメーカーがブースを出していましたが、その内容の多くはチップの小型化、認証方法の簡便化に焦点を絞ったものでした。良くいえば「各社とも利便性の追求を巡り鎬を削っている」となりますが、厳しい言い方をするならば「小型化、認証方法の簡便化を超えるブレイクスルーが見られなかった展示」となるでしょう。
いずれにせよ、医薬品の流通管理の将来を考えれば、これまでのように箱単位でのバーコード管理ではなく、シート単位(もっと言えば一錠単位?)でのIDタグ管理が求められてくることは必須といえます。次回以降、どのような新機軸が見られるのか期待したいところです(写真2)(写真3)(写真4)。
写真2
写真3
写真4
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A会場のなかで、とりわけ数多くの人が詰め掛けていたのが、ファナック<http://www.fanuc.co.jp/>とCKD<http://www.ckd.co.jp/>のブースです。
両社のブースは向かい合わせに設営されていて、それぞれ非常に興味深い展示内容で、かつ派手なデモンストレーションを展開していることもあり、物見遊山っぽい人を含め多くの人が立ち止まっていました。
ロボットの研究開発では国内屈指の技術力を持つファナックの展示では、最新の知能化ロボットをデモンストレーションしていました(写真5)。このデモは、バラバラに搬送されてくる『白いシールの目薬』と『黄色いシールの目薬』を、毎分200個のペースで別々にピックアップして並べなおすというもの。
写真5
写真と文章だけを見れば、「最初からプログラムされていれば難しいことではない」「そもそも最初から整列されて流れてくるラインにすれば事足りるのに」という感想が聞かれそうだが、このロボットの凄いところは、「ロボットが自分の目で見て、自分で判断して、正確な制御のもとでピックアップしている」ことにあります。
動画で見せられないのが残念ですが、ちょっとした渓流の流れよりも早いスピードでバラバラに流れてくる目薬を、アームが見て、追いかけてピックアップする動きは、結構なインパクトがあるものです。近くに来た人は例外なく足を止めて見入っていました。
で、ロボットのデモンストレーションを見ていた人が、振り返ってじっくりと見入っていたのがCKDのブースです(写真6)。
写真6
各種自動機械の開発・製造を手掛けるCKDが、今回一押しでデモンストレーションしていたのが、PTPシート・錠剤異物検査装置のフラッシュパトリ。どんな検査装置かといえば、PTPシートをフラッシュで撮影することで、PTPシートに印字されているメーカーロゴや製品名に左右されずに、異物だけを選択的に見つけるというもの。誤解を恐れずに言うならば、「PTPシートの印字部分を明るいフラッシュで“飛ばし”、飛ばなかった部分(異物)をキャッチするもの」といえそうです。
その検査レベルは、「25μmの体毛レベルも電子の目でキャッチする」ほどのもので、PTPシートで包装されている「錠剤の欠け」はもちろんのこと、他の検査装置では見逃されがちな「錠剤表面の剥離」「3%程度の欠損」も隈なくキャッチするという高性能なものです。
そして、その機能の凄さを際立たせていたのが、社員2人の掛け合いによるデモンストレーション。説明役の男性社員(恐らく開発担当者)とアシスタント役の女性社員の掛け合いによる——解説担当とツッコミ担当で綺麗に役割分担してなされた——機能の説明は、今回のインターフェックスにおける数々のデモンストレーションのなかでも最もわかりやすく、説得力のあるものでした。
多くの出展企業が「課長、部長クラスの男性社員による10〜15分喋りっぱなし」のデモンストレーションをやっているなかで、見ている人に飽きを感じさせず、かつ興味深い製品内容について啓蒙する(しかも製品の動きも、ファナックの知能ロボットには遠く及ばないものの結構派手)という同社の展示内容は、売上に直結したかどうかはわかりませんが、少なくとも見た人に好印象を与えるものであったとはいえそうです。(有)