医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪国際がんセンター、日本アイ・ビー・エムが3月から共同研究を始めた、「AI創薬指向型・患者還元型・リアルタイム情報プラットフォーム事業」について、8月から乳がん患者を対象に「対話型疾患説明生成AI」の実運用を開始したことを明らかにした。同事業での生成AIの実運用開始は初めて。
同事業はリアルタイムの医療ビッグデータの基盤構築の一環で、臨床研究・創薬への反映を目的とするほか、医療従事者の業務効率化などでのAI活用技術開発を目指している。
生成AI開発を担う日本IBMは、「対話型疾患説明生成AI」のほか、「患者説明・同意取得支援AI」「問診生成AI」「看護音声入力生成AI」「書類作成・サマリー作成」の開発を進めている。「対話型疾患説明生成AI」は来年1月から消化管内科でも運用を開始する。
大阪国際がんセンターでは、「乳腺・内分泌外科」の手術件数が22年には600件を超えた。ただ、乳がん治療は、根治性に加えて整容性に関する説明と同意取得も大きなファクター。診療内容の複雑性のため、説明と同意取得に1時間を要していた。今回の生成AI導入でこの時間を30%軽減することを目指す。
一方、全国でも乳腺専門医が減少する状況もあり、この生成AIをオンラインで活用することで、乳がん診療の均てん化も期待できるとされる。