医薬基盤・健康・栄養研究所と日本パスツール研究所は20日、医薬品・ワクチン開発に関する研究連携協定(Memorandum of Understanding=MOU)を締結、大阪市内で調印式を行った。契約期間は3年間。

 

 日本パスツール研究所(IPJ)は、昨年9月の日仏首脳会議で合意されたパートナーシップ協議に基づいて、本年6月24日に設立された。パスツール研究所の世界拠点は30ヵ所以上にのぼる。


調印後の基盤研・中村井理事長(左)とIPJのアナワット・サクンタバイ常務代表理事


 今回の協定は、医薬品・ワクチン開発を軸に両者の研究分野に関して協力や情報交換を行うのが目的。今後、両者が取り組む具体的な研究事業分野を特定することにしている。また次世代研究者の育成にも取り組む。


 同日の記者会見で基盤研の中村祐輔理事長は、感染症や免疫疾患分野で基盤研のノウハウとパスツール研の世界的なネットワークの融合に期待を示し、とくに基盤研の有する霊長類医科学研究センターの活用が国際化する展望にも触れた。


 IPJの松田文彦・共同代表理事は、パスツール研究所が持つ実績と国際的なネットワーク機能を活かしながら、とくにパンデミックへの迅速対応の国際的研究連携の重要性や、若手研究者の育成、関連テクノロジー企業のスタートアップ支援などへの取り組みも語った。


●パスツール研のファンド運用にも関心


 一方で松田氏は、パリのパスツール研究所のファンドは、政府公的系、民間個人、知的財産運用で3割ずつの配分となっていることを示し、日本ではイノベーションで研究開発ファンドを回していくインフラは実現していないと指摘。これを日本でも応用していくこともIPJの事業分野になる可能性を示唆した。


 IPJの大阪での包括研究協定は今回が初。IPJはこれまでに京都大学と「パスツール加齢医学研究センター」で、東京大学と「プラネタリーヘルス・イノベーションセンター」で拠点を設置することで合意している。