10日に大阪市で開かれた近畿薬剤師学術大会では、調剤報酬・診療報酬改定をテーマに分科会が行われ、三師会の中医協委員3人による講演と、ディスカッションが行われた。
日本医師会の茂松茂人副会長は24年度診療報酬改定を軸に報告したが、近年は改定率決定時の大臣折衝で対応項目が具体化されるなど、中医協が形骸化しているとの厳しい見方を表明。フロアから、かつての中医協折衝方式に戻る見通しを訊かれ、当面は難しいかもしれないが、現在の不安定な政治体制を「横から押しながら」転換を求める姿勢を示した。
一方、0.88%の引き上げだった改定について、その間の論議も踏まえつつ、引き上げは実現したが医療経営環境は厳しく「まったく十分ではない」と評価。今後は人材はじめ医療資源の確保がさらに難しくなる、患者第一を軸に地域で医療関係者が協働して対応していくことを求めた。
また、骨太の方針をめぐって政府と応酬があったことに関し、とくに医療DXに厳しい対応の必要を強調、「医療費の適正化」などの表現は認めないことを繰り返した。電子カルテに関しては「いつかはすべて置き換わるもの。現状で紙カルテを全廃はしない」と患者を取り残さない体制維持の必要を説いた。
医療DXについては、日歯の林正純副会長が診療報酬だけで推進を図るのには無理があるとして、補助金対応などを求めていくとした。一方で日薬の森昌平副会長は、調剤薬局はいち早く電子処方箋対応すべきだと語り、診療報酬に沿う経営努力を求めた。
調剤業務の外部委託に関しては、茂松氏が「信頼して処方箋を出せない。よろしくない」と難色を示した。森氏は、現実には一軒の薬局だけで対応できない処方もあり、過疎化など地域事情の違いもあり、地域の薬局が連携して対応する体制づくりなどを求めた。