大阪府薬剤師会(乾英夫会長)は5日、昨年11月から12月のほぼ1か月間で実施した2024年度の「後発医薬品を含む医療用医薬品の流通及び対応状況に関する調査」の結果を公表した。調査は21年度から行っており今回で4回目。行政、医療団体、保険者などの関係機関にも1月31日付で送付した。


 結果からの考察では、医薬品供給不足は若干の改善がみられるもの、安定供給には程遠いとの認識を強調。とくに選定療養の導入が供給不足に影響したほか、調剤薬局の業務負担増を招いているとして、導入に厳しい評価を示唆している。5日に会見した大阪府薬執行部の一部からは「導入時期が早すぎた」との見解もきかれた。


 調査は府内の会員保険薬局に対し、Webアンケートで実施。約45%にあたる1581薬局が回答した。前回(1628薬局が回答)よりわずかに減ったが、執行部は状況が改善されたというわけではなく、展望が開かれないことへの失望もあるとみている。回答者のうち85%が管理薬剤師。


 卸の納入状況について今回は後発医薬品に加えて、先発品も調査。後発医薬品に関しては「納品は発注通り」「調剤業務に影響が出ていない」は7.7%(前年4.6%)で、「納品が滞り調剤業務に影響が出る場合がある」「製品が流通していないため発注ができない場合が多くある」は92.2%(95.3%)となり、わずかに改善傾向がみられた。


 先発品についても、前者は21.7%、後者は78.2%で、「影響あり」が多数を占める。10月からの選定療養の影響が推察されると府薬はみている。


 納品が滞っている品目数は6~10品目で25.8%を占めた。先発品では1~5品目が4割近くとなった。


●抗生物質製剤の供給不安も顕在化


 医療用医薬品で特に入手困難な薬効群については、鎮咳剤との回答が82%を占めるなど不足状況が顕著で、次が去たん剤(68%)、総合感冒剤、鎮咳去たん剤の順で多くなっていて、この順は前年と同じ。ただ、24年度には「主としてグラム陽性・陰性菌に作用する抗生物質製剤」(薬効分類613)が5番目で、前回の27%から51%に増加するなど不足傾向が顕著に増加、マイコプラズマに作用する抗生物質製剤(614)なども目立った。


●選定療養の説明時間は平均5分


 今回の調査では選定療養制度の導入についてもきいた。制度の説明に要した時間は「1分以上5分未満」が44.4%、「5分以上10分未満」が41.1%。平均は4.86分となり、ほぼ5分の業務時間を使っていることになる。また、7割の薬局がまったく無理解な患者に対応した経験が多いと回答している。会員薬局の意見欄では制度の説明が国民に徹底されていないことや、メディアの関心度が低いことへの不満も示されている。またヒルドイドに関連するとみられる説明の難しさを訴える声もある。