大阪公立大学は26年度から大学院に「創薬科学研究科」(博士課程)を開設するが、17日にその詳細を学長懇談会で明らかにした。同大学は薬学部を持たないが、医学部を含む理系学部を総合的に融合、独自の創薬研究機能を持つとしている。とくに受け入れ先が給与を負担するジョブ型インターンシップに対応する人材育成に力を入れる。


 創薬科学研究科の科長に決まっている乾隆教授(写真)は、日本の創薬力低下の原因は、人材育成が世界に追い着いていないことだとして、海外企業がAIやバイオテクノロジー、データサイエンスなどの積極的な導入で迅速なイノベーションを進め、先行していることを強調、国際的競争力を高めるには人材育成を急ぐ必要を指摘した。



 乾教授は、国内企業や外資系企業でも大手はジョブ型インターンシップに積極的な半面、国内の中堅企業はジョブ型インターンシップに無関心であることにも言及し、こうした企業群の開発能力を高める人材教育も視野にあることを示したほか、検査薬業界への人材輩出にも意欲を見せた。


 公立大は大阪府立大時代の20年度から創薬科学副専攻制度を導入、28人の定員制で教育を進めている。対象は理学部、工学部、農学部、獣医学部の学生で、2年次、3年次は実習も行っている。創薬科学研究科はそうした実績を発展させるもので、同学科からは医学部が加わる。大公大は22年度に医学部を持つ大阪市立大と統合してスタートしており、実質的な統合効果も現実化する。


 創薬科学研究科は博士前期課程40人、博士後期課程8人で同時スタートの予定。1専攻で16研究室が設置される計画で、アカデミアの創薬研究規模では国内最大となる。ジョブ型を含むインターンシップは後期課程が対象。このほか前期課程では英語能力の習得も重要なカリキュラム。後期課程では海外でのグローバル合宿も計画している。