ハロー歯科
滝川 雅之氏


岡山市のハロー歯科の滝川雅之先生は、岡山大学の付属病院各科と三宅医院(産婦人科)と連携して「メディカル・ディズニーランド」を形成している。「妊産婦の口腔ケアと、マイナス0歳からの口腔サポート」と題して演述した。滝川先生は「日本笑い学会」の岡山県代表でもある。


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乳幼児の虫歯保有率が高く、それをなんとか低くしようと提唱されたのが、岡山大学歯学部小児歯科学講座の下野勉教授であった。

 

 3歳児で30%以下、5歳児で50%以下を目標としたい、に共感して93年に歯科を隣接地に併設した。内科や参加との連携も実現した。そして出産準備中によく説明し、ベッドサイド研修を行うことになった。産科・小児科では、妊婦検診、出産・入院、乳幼児健診、育児支援のプロセスを踏む。歯科はそれに呼応して妊婦歯科検診・カウンセリング、歯科治療・口腔衛生指導、母親の受診・治療、子どもの受診・う蝕予防を行っていく。


「赤ちゃんの笑顔を守る口腔ケア」というわけだが、実は胎児もよく笑っている。母親にうれしいことが会ったり、笑ったりすると胎児も笑う。4Dエコーで撮影された画像がある。三宅肇先生はこれを「エンゼル・スマイル」といっている。出生直後に笑う生理的微笑、2〜4か月で笑う社会的微笑、1歳すぎればもうニコニコと笑う。これにあわせて周囲の大人たちも笑い、ミラー現象となる。

赤ちゃんはみんなにとっての宝物であり、健やかな笑顔を守りたいと思う。

  

歯周疾患と全身との関連をみてみると、糖尿病と骨粗鬆症、喫煙が高いリスクを与えている。歯が悪くなる3大素因である。

逆に歯周病が高いリスクを与えるのは誤嚥性肺炎、早産・低体重児出産である。

さらにリスクを高める可能性があるものとしては動脈硬化、心臓病、バージャー病などがある。

 

 口腔ケアで妊娠トラブルを予防しようという認識が高まってきている。歯周病に罹っていると、いろんな最近が増殖する。それらが血液中に侵入し、子宮や胎盤に流入すると、子宮の平滑筋が縮小したり、子宮頸部が拡張したりする。これが早産や低体重出産をひき起こす原因となる。

 

 そこで正しい歯磨きを指導したり、歯石を除去したり、洗口剤の使用をうながして、さらに定期的な口腔ケアを実行することが大事になってくる。

  

意識改革をしてもらって、妊娠中から適切な口腔ケアを実施すれば

①丈夫な赤ちゃんの出産につながり

②子どものむし歯予防になり

③自分自身の歯周病予防につながる。

 

「親が変われば子どもが変わり、子どもが変われば未来が変わる」のである。そして何よりも歯科はこわいというイメージを変えなければならない。明るくて楽しくて元気になれる、また行きたいと思わせる歯科になる必要がある。(寿)