愛媛大学院医学系研究科・健康科学研究室
吉村裕之氏


愛媛大学と㈱山田養蜂場が、産学連携共同研究で「女性の冷え」を取り上げた。ローヤルゼリーによる改善効果で、同大学院医学系研究科の吉村裕之教授(健康科学研究室、薬学博士)が発表した。

   

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   女性特有の「冷え性」が、単なる加齢だけが原因ではないということから「冷え症」との認識が高まってきている。

 

 手足の末端部や腰部などに、耐え難い冷えを感じる「冷え」の症状は、女性ホルモンの分泌低下による中高年女性の愁訴のひとつ「冷え性」とされてきた。しかし、近年若い女性にも「冷え」の症状が多く認められるようになってきた。低体温や貧血の学生が冷えを訴える例が増えている。冷えを自覚する学生には、不眠、肩こり、便秘が多い。これは生活環境や食生活(ダイエットや偏食など)を含めた多様な要因を背景に起こる「冷え症」ではないかと認識されるようになった。

 

  高齢と共に女性ホルモンの分泌が低下するために起こるだけでなく、成長期の若い人に女性ホルモンの分泌量が増えつつあるときも、冷えが起こるということである。


 冷え症は、体温調節機能の異常、自律神経系を介した血管運動調節機能の低下などが身体的に表出したものと考えられる。外気からの寒冷刺激に対して十分に適応できない状態であり、女性の内分泌機能の変調と深いかかわりがある。

 

 冷え症は、意欲や集中力の低下、不眠、抑うつ気分など精神的な問題、頭痛、腰痛、生理不順など身体的苦痛をひき起こすことから、日常生活の質(QOL)を著しく低下させることになる。冬季の寒さだけでなく、夏季の冷房完備の環境も問題である。

 

 試験は、冷え症の自覚症例がある8名の学生を対象に行った。350㎎上のローヤルゼリー8粒を2週間摂取、その前後の2回、次の項目の測定を行った。

①サーモグラフィーによる皮膚表層温度

②末梢循環血流の動態。


①一定温度の実験室で20分間安静を保ち、撮影記録。20度の冷や水に両手を1分間浸し、すばやく水分を払拭して撮影記録。その後1分ごとに11分まで計13回撮影記録。以上いずれも優位に上昇していた。


②レーザー組織血流系で測定すると速度は有意に速くなっていた。増加傾向もみられた。


若い人は手足の先に冷えがくるが中高年は方や腰にくる。その差は何なのか、次回は中高年の女性について調べてみたい。


(寿)