ドラッグストア業界が総力を結集し、一堂に会した第13回JAPANドラッグストアショーが3月15日(金)〜17日(日)の3日間、千葉県幕張メッセで開催された。

 開催から13年目を迎える今回のショーテーマは「夢ふくらむドラッグストアの進化〜セルフメディケーションで街に元気を!家族に元気を!」。一般生活者に向けて、セルフメディケーションのさらなる理解促進と啓蒙のための情報発信が行われた。

 3日間の来場者数は131,957名。会場は超満員の来場者で汗ばむほどの熱気に包まれ、一般消費者の「セルフメディケーション」に対する関心の高さが伺えた。


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 今回のショーでは、クイズやアンケートへの回答とサンプル配布を組合せた展示が多く見られ、各メーカーともに、来場者たちの興味をひくためだけではなく、セルフメディケーションに対する知識を向上させるため、一目見て商品の特性が分かりやすいような工夫をこらしていた。


 クイズ形式のものには、質問の答えがボタンを押したら表示されるようになっていたり、小窓を覗き込むと中に可愛らしいキャラクターと一緒に答えが書かれていたりといった遊び心をまじえた要素が組み込まれており、大人も子供も夢中になって展示物に見入っていた。

 来場者たちは、様々なしかけが施されたブースの中から、クイズの答えを探して歩いて回る。その最中に展示物を注意深く見ることによって、楽しみながら製品の特性や疾患に対する知識を得ることが出来るというわけだ。


 アンケート形式のものでは、実際に香りをかいだり、テスターを使ってみたりといった定番の展示はもちろんのこと、店頭で受けるサービスさながらのカウンセリングを受けながらアンケートに答えるものや、テレビ電話で遠隔地のオペレーターと話しながら回答を行ったりするといった凝った仕掛けを取り入れたものがみられた。

 このように、商品を実際に試してみたり、丁寧な説明を受けると、ただぼんやりと展示場を見て回るより、はるかに商品の特性が印象に残りやすい。

 来場者たちも質問しやすい雰囲気に背中を押され、スタッフに対して自分から積極的に商品のことを尋ねていた。


 展示を見終えると、参加者は最後にサンプルをもらうことが出来る。


 各社あの手この手と様々な工夫をこらしていたが、参加者が興味を示し、長い行列を作っていたのは、こうしたサンプル配布を行っているブースだった。


 特に、店頭で販売しているものと比べて遜色ないような豪華なサンプルを提供するブースに人気が集中していたのは、商品に興味があるものの、サンプルを試して効果を実感してから購入に踏み切りたいという消費者が多いからなのだろう。 



 このような、参加者の“消費者”としての欲求を満たしてくれるサンプル配布とクイズやアンケートといった参加型のイベントを組合せた展示は、参加者を商品の新しいファンにする可能性を秘めているだけでなく、商品の情報提供を行うとともにセルフメディケーションについて知ってもらう機会にもなり、商品のPRとセルフメディケーション啓発に効果的な手段のようだった。


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 会場内で勢いを感じた商品は、スイッチOTCと男性をターゲットにした化粧品や臭い対策グッズだ。


 展示会場では、男性専用日焼け止め、化粧水や保湿効果のあるローション、ボディソープやシャンプーなどのバス用品、ヘアケア商品など女性向け商品顔負けの品ぞろえがみられ、サラリーマン風の男性来場者たちが興味深そうに展示物を見て回っていた。

 これまで、ドラッグストアというと女性向け化粧品や小物が充実している印象だったが、これからのドラッグストアには男性をターゲットにした商品が台頭してくるのかもしれない。


第13回JAPANドラッグストアショー 薬剤師ライターのピックアップ


○アンチスタックス(エスエス製薬)

 アンチスタックスは「飲む」足のむくみ改善薬。

 有効成分は天然由来の赤ぶどう葉乾燥エキス混合物だ。

 これまで、むくみ対策というと着圧式の靴下など「外から」というイメージだったが、このアンチスタックスを用いると体の内側からもむくみを改善できる。



 内服でむくみを解消する薬というと利尿剤があるが、トイレが近くなることから敬遠していた人も多いのではないだろうか。そんな人たちにとってアンチスタックスは良い選択肢のひとつになりそうだ。


 ○高齢者向けの食品(株式会社マルハニチロ食品、タナカフーズ株式会社、日東ベスト株式会社、イーエヌ大塚製薬株式会社、森永乳業株式会社)

 3食しっかり食べているのに、気づかないうちに栄養失調になるという高齢者における「新型の栄養失調」が問題になっている。

 高齢者の「噛む力」の低下や、加齢にともなう食欲不振で肉や卵などの動物性タンパク質の摂取が不足してしまうことが原因のひとつだ。

 栄養が不足すると、日常生活での活動量が減り、その結果筋力が落ちて転倒しやすくなったり、転倒による骨折で寝たきりになったり…といったリスクが増加し、高齢者の生活の質を著しく低下させる。

 そんな問題を解決してくれるのが、高齢者向けに開発されたレパートリー豊かな高齢者向けの食品ではないだろうか。


 各社、味はもちろんのこと、普通食とくらべて遜色のないおいしそうな見た目づくりや歯が悪くても舌でほぐれるようなやわらかさを保ったり、さまざまな工夫をこらしている。


 試食に出ていたハンバーグを頂いてみた。


 あらかじめ細かく砕いた素材を再形成しているおかげか、口に入れて噛み締めるとすぐに形がほぐれてきた。味つけもしっかりとしていておいしい。これをレンジであたため、あとは自分で白ごはんを用意すれば栄養バランスのとれたおいしい食事が楽しめそうだ。(育)