京都大学iPS細胞研究所
講師
高橋和利 氏


 35歳以下の有能な人材を顕彰する「明日への象徴」(共催・サノフィなど)が30日、都内で開催された。「研究者部門」では、ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大教授とともにiPS細胞の開発に取り組んだ高橋和利・同大講師が表彰された。今月10日にはニューヨーク幹細胞財団からの「ロバートソン賞」も受賞している高橋氏に、降壇後、話を聞いた。


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——iPS細胞は新薬創出へ大きな足がかりになるものと期待されています。製薬業界へひと言お願いします。


製薬会社が現状、どの程度iPS細胞を利用しているのかは把握していないが、とにかく、まずは使ってみてほしい。幸いなことに、特許も京都大学が取得しているため、研究のハードルも下がった。どんどん使ってもらって、(結果が)良ければ、もっと使ってほしい。


——大手製薬メーカーがiPS細胞の活用で治験における新薬開発の成功確率が高まる、としています。


私はどちらかというと、基礎研究を行っているので、(企業との)共同研究にはあまり携わっていないが、そういった一つ一つの研究が積み重なっていけば、良い成果が出ると思う。


——iPS細胞の開発の真意が世間に伝わっていないと感じたことはありますか。


ない。山中先生もいろいろな場所で有用性をアピールしている。しかし、まだ(開発されて)たかだか6年の技術なので、これから、としかいえない。


——受賞のスピーチでは、「30年後に研究者のキャリアを終える時に、『iPS細胞の高橋君』のままでいるつもりはない」とおっしゃっていました。


まずは、iPS細胞の応用に向けて全力でまい進していく。それはいずれ達成できると信じているので、その後は(独自性のある)ほかの研究をしていきたい。