サンスター歯科保険振興財団
高稲 浩実氏
歯を磨くのは、習慣か義務感か判然としないが、毎日磨く(食後も含めて)のは健康上実に大切なことである。それを子供の頃から楽しく取り組めるようにしつけることが大切だ、と力説するのはサンスター歯科保険振興財団の主任歯科衛生士・高稲浩実さんである。「ママと赤ちゃんの体のお口と健康」と題して演述した。
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プレママが抱える不安や悩みは多種多様です。歯科領域についても気軽な相談相手や詳しい情報を提供できることが大切です。たとえば「子供にカルシウムをとられて歯が弱くなる?」という疑問には「いったん歯に蓄積されたカルシウムは、再び体内に取り込まれることはありません」と答えます。「歯が痛いけど妊娠中に治療しても大丈夫?」という質問には「妊娠初期でも必要に応じて応急処置や治療を受けることができます」と答えます。
ムシ歯は感染症なのです。1本でもなると周りの歯にも伝染します。
子供に歯を磨きなさいと命令するだけではいけません。最初は一緒に「ママのようにやりなさい」と楽しい雰囲気で取り組んでください。そしてほめてあげながら、仕上げの磨きをしてあげるのです。年齢ごとに虫歯になりやすい場所があります。
低年齢児の場合は前歯です。特に歯と歯の間、歯と歯肉の境目に汚れが残りやすいのです。初めてのケアや歯ブラシを嫌がるときは、ガーゼ、綿棒、歯拭きシートで歯の表面を拭いてあげるといいです。
歯磨きのときの体位は、寝かせみがき、椅子に座らせて、前に立たせて、の3通りがあります。いずれもお母さんは後ろからお子さんの顔をあおむけにして、口の中がよく見える体位で磨きましょう。ハブラシの大きさは前歯2本と同じくらいか、やや小さめのものがいいです。ブラッシングでは力を入れすぎないことが大事です。
乳歯のムシ歯予防を8項目にまとめてみました。
①保護者からのムシ歯菌の感染を予防する(家族中が口腔内の健康を保つ)
②楽しい歯磨習慣を定着させる
③お口を触れられることにならしておく
④年齢ごとにムシ歯になりやすい場所を知っておく
⑤ハブラシだけでない清掃方法も組み入れる
⑥子供への上手な歯磨き方法への声かけ
⑦飲食回数(間食も含む)の質と時間と回数の管理(長期授乳から、遊び食いの習慣への移行の注意)
⑧うがいが可能になれば、フッ化物配合のハミガキ剤を使用する。
以上のことを守って励行し、さらに定期的な歯科検診を受けるようにしましょう。(寿)