俳句・川柳は五七五(十七文字)、短歌・狂歌は五七五七七(三十一文字=みそひともじ)で、もう一つの短詩型である都々逸(どどいつ)は七七七五の二十六文字である。そして詠み方というか、作り方は三四、四三、三四、五とすることである。


親の(三)意見と(四)
茄子の(四)花は(三)
千に(三)ひとつの(四)
無駄もない(五)


 俳句・川柳は一句、短歌・狂歌は一首と数え、都々逸の場合は章である。

 歌詠みは、歌句佳句詩歌時歌首章(かくかくしかじか しゅしょう=殊勝)なり、ということになる。


 日本各地の民謡がまた七七七五でできている。北海道の「ソーラン節」から沖縄県の「安里屋ユンタ」まで、ほとんどの地方の民謡がそうである。「花笠音頭」、「佐渡おけさ」、「草津節」、「越中おわら節」、「よさこい節」、「黒田節」、「鹿児島おはら節」等々。始めや終わり、あるいは、中に挟まる囃子言葉は千差万別であるが…


(ヤレンソーランソーランソーランソーランソーラン、ハイハイ)


沖の鴎に潮時聞けば
わたしゃたつ鳥波に聞け


(チョイ、ヤサエエンヤンサノドッコイショ、アードッコイショドッコイショ)


(ハァー)


主と私は羽織の紐よ(サーユイユイ)


固く結んで(ヤレホニ)胸の上(マタハーリヌツンダラカノシャマヨ)


めでためでたの若松さまよ
枝も
(チョイチョイ)栄えて葉も繁る


草津よいとこ一度はおいで(ドッコイショ)
お湯の中にも(コリャ)花が咲くよ(チョイナチョイナ)


都々逸の場合、一行目と三行目の三四が、四四になってもいいことになっている。しかし、二行目の四三はかならず四三でなければならない。また最初に五文字を加える場合がある。これを五字冠(かむり)という。


弱虫が
たったひとこと
小ちゃな声で
捨てちゃ嫌よと
いえた晩

 

 明けの鐘
ゴンと鳴る頃
三日月型の
櫛が落ちてる
四畳半


三味線にのせて、情緒纏綿(じょうしょてんめん)と歌う世界だけではなく、日常生活の機微を詠もうという都々逸の結社もできている。

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松井 寿一(まつい じゅいち) 

 1936年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。医療ジャーナリスト。イナホ代表取締役。薬業時報社(現じほう)の記者として国会、厚生省や製薬企業などを幅広く取材。同社編集局長を経て1988年に退社。翌年、イナホを設立し、フリーの医療ジャーナリストとして取材、講演などを行なうかたわら、TBSラジオ「松チャンの健康歳時記」のパーソナリティを4年間つとめるなど番組にも多数出演。日常生活における笑いの重要性を説いている。著書に「薬の社会誌」(丸善ライブラリー)、「薬の文化誌」(同)などがある。