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 誰もが安心しきっていた真夏の大流行。新型インフルエンザの二次流行が始まった。

 

 一次流行の規模は当初の想定よりも大きくなかったといえるが、これは言葉を換えれば「未感染で免疫を持たない患者が数多く残った」ことでもある。初秋へと季節が移っていくなか、気温低下や新学期スタートなどにより本格的なパンデミック発生も懸念されよう。
そこで今回は、二次流行の脅威をブロックする2つの「インフルエンザ対策グッズ」について取り上げてみたい。

 

 一つめは明治製菓の「イソジンウイルス立入禁止マスク」。

<http://www.meiji.co.jp/drug/isodine/products/mask/tokucho.html>

 

 一昨年7月に発売された製品だが、発売当初は他の不織布マスクより割高という価格設定もあってか苦戦していたとのこと。しかし、パンデミック一歩手前となったこの5月は売れに売れ、「5月の出荷は空前のものでした。9月からスタートする秋冬シーズンに備え、少しずつ在庫を確保していたのですが、それが全てはけてしまいました」(明治製菓健康事業マーケティング部)という。

 

 そんな同製品の最大の特長は『3Dイソジンフィルター』にある。端的にいえば、ポピドンヨードを結合したフィルターが、その殺菌作用(ヨウ素の酸化作用による殺菌)を発揮することで、インフルエンザウイルスをブロックするということ。

 

 ポピドンヨードの殺菌作用ということなら、普通の不織布マスクにイソジンを染みこませればいいのでは? と思われるかもしれない。しかし、不織布マスクにポピドンヨードを漬け込むだけでは効果がないという。マスクのポピドンヨードが乾いてしまうと、殺菌作用が期待できないためだ。

 

 では、どのような技術でフィルターにポピドンヨードを結合させたのか?

 

「放射線を使ってポピドンヨードを繊維に“絡みつかせる”ように結合させますが、これ以上は企業秘密です」(明治製菓健康事業マーケティング部)とのこと。この特殊技術によりポピドンヨードを結合したフィルターは、付着したウイルスを速やかに除菌するという。一般的な使い捨て不織布マスクであれば、朝装着して夜になる頃にはウイルスまみれとなっているものだ。この点、イソジンマスクはフィルターがウイルスを除菌するため、他の不織布マスクよりもクリーンであるといえよう。

 

 もっとも、イソジンマスクは医薬品でも医薬部外品でもないので、『一般的な不織布マスクよりもクリーン』と謳うことはできない。上記の見解も筆者の推測でしかなく、明治製菓が承認したものではないことを申し上げておく。

 

 ただ、古典的な殺菌剤として定評のあるポピドンヨードを使い、その効果をあますところなく発揮できるフィルターを使ったマスク——という“事実”から導き出される“効果”は確かなものと思えるのだが……。もし、「一味違う不織布マスクを使ってみたい!」と思ったのであれば、「マルチなんとか構造で〜〜」とか「ノーズフィッター加工で〜〜」といった製品よりも、イソジンマスクをお薦めしたいところだ。

 

次に紹介するのは大幸薬品の「クレベリン ゲル」。

 

 <http://www.seirogan.co.jp/products/eisei/cleverin_gel.html>

 

 


同製品の特長は「部屋に置いておくだけで、ウイルスを除菌する」ことにある。

 

 「手洗いにより手指を除菌する」
「煮沸により水や食器を除菌する」
「アルコールで家具を除菌する」

 

 のように、局所的に除菌するモノは数多くあるが、空気中に蔓延するウイルスを除菌するモノ——例えばアルコールをスプレーしても空気清浄機を通しても、部屋中のウイルスは除去できない——は、ほとんどない。クレベリンゲルはその数少ない例外である。

 

 クレベリンの主成分は二酸化塩素。その製品特性は、「容器内のゲルから発生する二酸化塩素分子の働きにより、空気中のウイルスを除去する」というもの。

 

 具体的にどのようなプロセスを経て空気中のウイルスが除菌されるのか?

 

 大幸薬品のサイトによると、
「二酸化塩素は、その特有の分子構造 フリーラジカルによる特異的な酸化作用で、標的とするウイルス・細菌のタンパク質を酸化修飾します(後略)」
<http://www.seirogan.co.jp/products/eisei/mechanism/mechanism.html>

 

 とのこと。この酸化作用のときに、病原体(ウイルス、細菌、真菌など)のたんぱく質を変性することで病原体の性質が変わり、不活性化するという。塩素の反応によって除菌する塩素消毒と違い、二酸化塩素自体の反応によって発生する酸素の酸化作用により除菌するため、pHや濃度に関わらず高い除菌効果を発揮することも大きな特長といえよう。

 

 ウイルスへの効果は顕著なもので、ノロウイルス、B型肝炎ウイルス、HIV、麻疹ウイルス、ヒトアデノウイルスで、いずれも次亜塩素酸ナトリウムよりも高いウイルス除去効果を発揮。インフルエンザウイルスに対しては、マウスのインフルエンザウイルス感染に対する検証で、0.03ppmの二酸化塩素ガスを15分間暴露させたマウスの21日後死亡率で「死亡なし」(空気のみの暴露は10匹中7匹死亡)。マウス肺中のウイルス力価(TCID50)は空気のみの暴露に比べ半分以下の好成績を残している。

 

 これだけ優れた除菌効果を持つ二酸化塩素だが、その最大の弱点は安定性が極めて低いことにある。二酸化塩素の溶液は、空気中にほうっておくだけで勝手に反応、揮発してしまい、ボンベに密閉しても2カ月程度しか保存できない。つまり、一般家庭に流通させることは事実上不可能——卸や薬局で在庫しているうちに揮発していまう——ということだ。

 

 この安定性が極めて低いという弱点を、大幸薬品はどのようにして克服したのか?

 

 大幸薬品のサイトによると、
「溶存二酸化塩素ガス、亜塩素酸塩、pH調整剤を構成成分とすることで二酸化塩素ガス濃度を一定にできる」という理論により、液体中の二酸化塩素ガス濃度の一定保持化に成功しました。これが、大幸薬品が世界に誇る「二酸化塩素ガス長期保持」に関する特許技術です。

としている。

<http://www.seirogan.co.jp/products/eisei/mechanism/patent.html>

 06年4月より業務用製品、昨年秋から一般向け製品を発売。売れ行きは好調で、売上高は07年で1億94百万円、08年で11億67百万円と一年で6倍増を記録。09年は17億20百万円を見込んでいたが、新型インフルエンザの流行により予想以上に売上が伸び、7月末には業績予想を上方修正——第二四半期連結業績は27億49百万円から41億36百万円まで修正——した。現在、20〜30億円程度までの供給体制を整備しており、「現在の体制でも年商50億円くらいまでは対応できる」(同社広報)ため、供給不足による機会損失は避けられるという。

 

・高いところに置くことで、部屋全体に漂うウイルスを除菌する
・玄関近くに置くことで、外から持ち込まれるウイルスをシャットアウトする
・衣装ケースに8時間以上置いておけば、衣服のウイルスを除菌できる

 

 というクレベリンゲル。イソジンマスクに手洗い、アルコール除菌との合わせ技は、新型インフルエンザ対策の“決め手”となり得るのではないだろうか。(有)