ホワイト歯科医院
勝又徳昭氏


◆静岡がんセンターは、がん治療に当たっては口腔ケアが欠かせないとして、院内でも地域の歯科医師会とも連携を深めているが、裾野市のホワイト歯科医院の勝又徳昭院長が「がん患者向け口腔ケアの医科歯科および地域の連携」について現状を説明した。


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当市は名前のとおり富士山の裾野にある。人口は年々右肩上がりに増えていて06年現在5万2439人である。健康文化都市を宣言し、白く輝く歯は市のシンボルだと標榜している。80歳で20本以上の歯をと呼びかけ、積極的な口腔衛生活動を行っている。


がんセンターの歯科治療・口腔ケア体制は整ったが、がん患者さんからは①「がん治療を受けている」と正直に言ったら、歯医者さんで治療を断られた。②がんセンターへ通うのが大変だから、近くに安心してかかれる歯医者さんを知りたい、といった声が寄せられた。歯科医師側からは①がん患者さんが受けている治療内容がよくわからないので、どうしていいか不安である②がん治療中であることを言わない患者さんがいる。知らないままにリスクのある治療をしているのは怖い、といった声がある。


そこで病院完結型から地域完結型への構想が練られた。東部地区の9郡市歯科医師会と連携。04年3月から病診連携の可能性を調査。連携対象の患者さんは①治療予定で口腔内合併症が予想される②がん治療が終了し、継続して口腔ケア・歯科治療が必要、という人たちで、マニュアル作成、情報交換、プライバシー確保などのフォームをつくった。講習会も開かれて、同地域の医師567人中276人(48・7%)が0710月1日現在で連携歯科医師登録をしている。


医療連携の実例を紹介しよう。63歳の男性で、主訴は右上顎前歯部の動揺ならびに歯肉の腫脹。原発性肺がんが見つかり静岡がんセンターへ。通院での抗がん剤治療、10回で終了。歯が痛くなりセンターの歯科へ。かかりつけ医が連携歯科医だったので、患者さんの希望でそちらへ通院。全身状態が安定したのでセンター歯科で6本抜歯、連携歯科医で即時義歯装着。現在呼吸器内科で外来経過観察中。


 がん患者歯科医療連携推進のための協議会が定期的に開かれている。今後については次のようにまとめている。①連携はがん患者さんの安全、安心に必須である②問題点を修正しつつ確実なモデルを構築する③終末期まで口から食べられるよう支援する④静岡の連携をモデルに日本全国へ発展させていく。(寿)