アイラ・ウルフPhRMA日本代表(左)

ロバート・J・ヒューギンPhRMA会長(右)

(写真提供:MSL JAPAN)


 来日した米国研究製薬工業協会(PhRMA)のロバート・J・ヒューギン会長と、アイラ・ウルフ日本代表が15日、都内で行われた会見で、TPP交渉に関してコメントした。要旨は以下のとおり。


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ヒューギン会長 私の知るかぎりにおいて、日本の医療制度を変えてしまうようなものは、TPP交渉の中にない。また、いかなることがあっても、PhRMAがそれをサポートすることもない。


 私個人は、知的財産権に関して具体的な意見を持っていない。しかし、PhRMAでは、知的財産権の保護に対する認識をしっかりと共有していくことがイノベーションの創出につながると考えているため、それを最大限確保していくつもりだ。また、それがTPPのゴールでもあるとも考えている。


 革新的な新薬で収益を得なければ、製薬企業がR&D(研究開発)に多額な投資を行うことはできない。そのためにも、現存する世界中の特許法で権利保護を主張していくことが重要だ。


 私は知財専門の弁護士ではないため、ISD条項の詳細を完全に把握しているわけではなく、また、交渉にそのような条項を入れるかどうかについても、現時点ではわからない。PhRMAも十分な施策を確立しているわけではない。ただいえるのは、実効性のあるかたちで知財法をきちんと解釈し、真のイノベーションを保護していかなければならないということだ。私自身も、知財に関して高い保護基準を設けなければいけないと考えている。薬剤が最終的な上市につながる確率はきわめて低い。最前線で研究開発を行うリスクを考えれば当然だ。科学を進歩させるためには、イノベーションの扉を開かなければならない。この問題に対するPhRMAのポジションについては今後、明確にしていく。


ウルフ代表 ヒューギン会長の話した内容に補足する。私は7年前、PhRMAの日本代表に就任し、知的財産委員会を設立したことがあるが、一回たりとも会議を開催することはなかった。ニーズがなかったからだ。日本における知財保護は非常に強力だ。

 TPP交渉は日米にとって理想的な機会だ。日本の現行の法律は適切だと考えているが、交渉の有無にかかわらず、科学が進歩する際には、法律を改正しなければならない。これは、医薬業界だけではなく、ほかの業種についても言える。


 保護を強化できれば、参加9カ国の経済にとって有益となる。また、将来における交渉の標準を設定することもできる。政府間の協力は非常に素晴らしいアイデアにつながり、より生産的な関係になっていくだろう。