(写真提供 : バイエル薬品)


 バイエル薬品(大阪・北)が2012年度の業績を発表した。売上高(薬価ベース)は対前期比0.6%減少の1902億円で着地。薬価の改定や、食後過血糖改善剤「グルコバイ」など計3製品を富士フイルムファーマへ9月に販売移管したことが影響した。


 同社のカーステン・ブルン社長は3日、都内で行われた会見で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の臨床研究対象として注目を浴びている加齢黄斑変性のVEGF阻害薬「アイリーア」や、昨年4月発売の経口抗凝固薬「イグザレルト」の伸長などを理由に、売上高の減少についても、「満足している」と語った。

「イグザレルト」については、5月1日より投薬期間の制限が解除されるため、「重要なマイルストーン」(ブルン社長)として今後、さらなる期待を寄せたものの、今年度の売上予想額に関しては、「開示していない」と明言を避けた。また、3月25日に承認取得した経口マルチキナーゼ阻害剤「スチバーガ」に対しても、大きな成長を約束した。


 また、昨年11月発売の「アイリーア」で今年1月から2月までのわずか2ヶ月で、滲出型加齢黄斑変性(wAMD)治療薬市場でのシェア29%を獲得したが、「イグザレルト」同様、今年度の具体的な数値の伸びに関しては、明らかにしなかった。


 全体の売上高に占める「後発品なし」製品の割合を現在の52%から、2014年度までに60%以上へ引き上げる。国内への研究開発費は今後5年で、計5億ユーロを投じる。


 開発パイプラインについては、ホスレノール(Predialysis)、アダラートCR(high dose)、スチバーガ(GIST)、アイリーア(CRVO)の4件が現在、承認申請中。今年度の国内の第2・3相臨床試験は36件を見込む。


 そのほか、営業力のさらなる向上を課題に上げ、各営業所長による現場MRへのコーチング強化のほか、MRに対して製品知識に関する「かなり厳格な試験」(ブルン社長)を今後課していくと会見終了後、医薬経済社に語った。