大分県立看護科学大学
学長
草間 朋子氏


 アクロメガリー広報センターのメディア勉強会で、国立病院機構京都医療センター・臨床研究センター長の島津章先生が講演した。演題は「アクロメガリーの最新治療と今後の展望」であった。


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 アクロメガリーとは、先端巨大症のことである。1886年にフランスの神経学者ピエール・マリーが、肥大化した顔貌、四肢の先天的な肥大を呈する症例に対してアクロメガリーと名づけた。ギリシア語で先端を表すアクロンと巨大を表すメガを組み合わせたものである。20世紀初頭にクッシングによって、アクロメガリーの原因は下垂体腺種を背景とするホルモンの異常であることが報告された。その後、アクロメガリーの病態の解明が急速に進み、アクロメガリーの原因は成長ホルモン産生腺種であり、その治療法として、下垂体腺種の摘出、放射線療法、過剰に分泌された成長ホルモンの抑制を目的とする薬物療法が確立されるにいたっている。

 

 アクロメガリーは、脳下垂体にできた良性の腫瘍によって成長ホルモンが必要以上に分泌される病気である。年間発症率は100万人に3〜4人という希少かつ原因不明の病気で、難病に指定されている。顔つきが変化したり、手足が肥大するという特徴的な変化のほかに、しつこい頭痛や倦怠感などの症状、糖尿病や高血圧症といった合併症を引き起こすことから、患者さんの生活の質の低下、生命予後の悪化を招く疾患でもある。

 

 推定発症平均年齢は36歳前後。初診時平均年齢は45歳前後で男女比は、ほとんど差がない。治療の目的は次のようである。


 原因が下垂体腫瘍による場合は、まず腫瘍自身の除去(あるいは退縮)および腫瘍による周辺正常組織への圧迫を取り除くことによって、GH(成長ホルモン)分泌過剰に起因する症候の是正、合併症の罹病率減少をはかり、死亡率を一般人口の平均まで引き下げるとともに、腫瘍周辺正常組織の障害を軽減する。また分泌障害に陥った下垂体ホルモンに対しては、ホルモン補充療法を行う。

 

 治療の流れとしては、手術の場合、術前に薬物療法を行い、術後のコントロールを十分に行う。もし手術ができない場合は、薬物療法と定位放射線治療を交互に行う。そして再手術へと進む場合もある。年齢、活動性、合併症の程度、腫瘍の大きさと位置、治療の持続性、費用対効果、副作用などを十分に考慮した上で、個々の症例に応じた治療を選択する。

 

 わが国における「難病」は次のように定義されている。

 

①原因不明、治療方針未確定であり、かつ後遺症を残す恐れが少なくない疾病

②経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病。

(寿)