前回に続き、「第21回インターフェックスジャパン」について取り上げていきます。


 東展示場(A会場)で行われた「包装機械・包装資材EXPO」「製薬ITソリューションEXPO」「医薬品製造 受託サービスEXPO」という3つの展示のうち、最も華やかで多くの人を集めていたのが、「包装機械・包装資材EXPO」に新設された「パッケージ&容器フェア」です。朝日印刷、大日本印刷、共同印刷といった印刷会社から製紙会社、製作所にガラス会社まで、様々な会社による工夫の凝らされたパッケージ&容器が並ぶ風景は、他の展示とは一線を画すほど華々しいもので、多くの人が足を止めて展示に見入っていました。
 

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 透明クリアカートン、紙素材や生分解性プラスチックを利用したエコパッケージ、レーザーマーカープリントなど、数多くの技術、製品が展示されていた「パッケージ&容器フェア」ですが、多くの人を集めた背景には、「製品を気軽に手にとって見られる」ことがあるように思えます。

  

 来場者が自分の手で砕き、その効果を体験できるルミカhttp://www.lumica.co.jp/の「極薄ガラスアンプル」<http://www.lumica.co.jp/ample/>(厳密には同フェアのすぐ隣にブースを出展)や、アルテック<http://www.altech.co.jp/>の「スナップパック」http://www.hakoirimusume-altech.com/を初めとする展示は、まさに製品を“体感”させる内容で、大規模展示会ならではの内容でした。


  

 アルテックのスナップパックは、かいつまんで言うと「野球場のホットドッグについてくる二つ折りで捻り出すケッチャップ&マスタード容器の極小&極薄版」というもの。写真1の通り5cm足らず(A罫のノートで約6行半)の大きさで、厚さ1cmに満たない小さなパッケージを、写真2のように折ることで内容物を捻り出します。


 



写真1

 

 



写真2

 

  

写真3

 

 

 

 容量は1mlですが、写真3にあるボリューム(内容物はハンドクリーム)を見る限り、化粧品だけでなく歯磨き粉やシャンプーはもちろんのこと、ちょっとした食品にも十分応用できそうに見えます。何よりも小さく、薄く、丈夫——サンプルを手で思い切り叩き潰しても内容は漏れず、あくまでも折って捻り潰さなければ中身は出てこない——であるため、携帯性は抜群です。ブースでは、来場者が足を止めるたびに担当社員がプチっ、プチっと内容物を出すデモを行い、そのたびにちょっとした歓声が上がっていたことが印象的でした。

  

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 このアルテックのブースの目玉というべき展示が、3Dプリンター「EDEN250http://www.3d-printer.jp/のデモンストレーションです。3Dプリンターとは、その名の通り「3次元CADデータなどを基に樹脂などを加工して、データの通りの“モノ”を作り出す機械」のこと。

  

EDEN250」は、「UV硬化性樹脂をインクジェット方式で噴射し、内臓UVランプにより硬化した樹脂の上に次のスライスを噴射・硬化を、最薄16μmの厚さで繰り返し積層することで高解像度な立体造形を可能にする」(同製品パンフレットより)というもの。最薄16μmの厚さで加工できる点は業界最高峰のレベルとのことで、実際に加工された製品がこれです(写真4、写真5、写真6)。


 




写真4

 

 

 

写真5

 

 
写真6

 

 


 写真4の「がい骨の損傷状態」や、写真5左下部にある「ボールなかのボール」や、写真6下部にある「チェーン」なども正確に再現されています。パッと見には彩色していないフィギュアでしかなく、とても印刷の成果には見えません。このためか展示ブースを素通りしてしまう人が少なくなく、ちょっと気になって足を止めた人が「プラモデルのような接合部がなく、完璧な一体成型となっていること」に気づき、印刷の成果であることを知って驚嘆していました。

  

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 このように新技術、新商品の展示が盛りだくさんの「パッケージ&容器フェア」では、美しさや使いやすさ、コスト削減を目指す各社の取り組みが目を引きましたが、こうしたなかで「偽造防止」という観点から新技術を紹介している企業が複数あったことも注目されます。

  

 そのなかの一つである大日本印刷と中村産業のブースでは、「グラビア印刷マイクロ文字」(250μm角以下の文字を印刷する技術で、肉眼では文章が“線”にしか見えない)、「プリンタブルホログラム」(複写するとホログラム独自の光沢が失われるオリジナルホログラム)が紹介されていました。アジア圏を中心に人気商品の偽造が問題視されるなかで、こうしたトラブルを未然に防ぎ、商品の信頼性を保護するためにも、こうした技術はますます必要とされてくるのでしょう。諸外国による偽造問題の根の深さを感じさせる展示でした。


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 と、ここまで2回に渡って第21回インターフェックスを歩き回った結果をご紹介いたしました。実のところ、「受託製造をテーマにした展示会なんか行っても本当に見所なんてあるのか……」と思っていたものですが、実際に足を運んでみるとこうした懸念は氷解しました。専門家でない人にとっても案外面白く見られる展示会だったといえましょう(といっても、西展示場で開催されていた「国際バイオEXPO」は完全な“専門家御用達”の展示会でしたが……)。機会があれば、来年も行ってみたいものです。(有)