金沢医科大学
眼科学教授
佐々木 洋氏


 ジョンソン・エンド・ジョンソン社のメディアセミナーで、金沢医科大学・眼科学の佐々木洋教授が「瞼裂斑」の発症について講演した。J&J社の社員眼科検診の結果を元に、「正しい目の紫外線対策」を演述したものである。


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 強度の紫外線を短時間浴びただけで、眼のシミ(白目部分の黄色い斑点)ができる。これは瞼裂斑(けんれつはん)といって、立派な眼病なのである。しかしこのことを知っている人は0・7%でしかない。有病率は6割だというのに。


 瞼裂斑は、結膜に生じる白・黄・褐色の隆起性病変である。頻繁に認められるのだが、その存在は軽視され続けてきた。40歳以上の多くの患者さんに診られるのだが、ありふれた病変のせいか、カルテへ記載されることがほとんどない。しかし、臨床的にも研究的にも、瞼裂斑は重要な疾患となりつつある。


 紫外線関連の眼疾患の発症年齢は判然としている。紫外線を被曝することによって、傷害が蓄積し、眼疾患を発症する。剣裂班は10代から、翼状片は30〜40歳以降に(熱帯地域では40歳から)、それぞれ発症する頻度が高い。


 瞼裂班の病因は、加齢、外界との物理的・化学的接触あるいは刺激、そして紫外線である。


成因は


①紫外線被曝や加齢とともに増大する結膜の沈着物
②蛋白糖化最終産物の沈着
③D-アミノ酸を含む蛋白質の凝集物
④眼局所の抗酸化能の低下、である。

 

 理想の美しい眼は?という質問に対する答え(複数回答)は、白目にシミなどの濁りのない眼62・2%、白目が澄んだ目60%、白目と黒目がはっきりした眼59・1%、充血のない眼57・3%であった。理想の美しい瞳を持つ女性の有名人は?の問いのベスト3は①黒木メイサ②綾瀬はるか③菅野美穂・北川景子であった。


 こうした結果からもわかるように、眼の審美的な問題は、濁りのない澄んだ瞳ということになる。充血の原因は、アレルギー性結膜炎の場合もあるが、瞼裂斑のほうが多い。局所的なドライアイの原因にもなる。瞼裂斑の隆起で、眼表面を覆う涙液層が隆起部の付近で不安定となる(涙液の分布異常)→限局性の角膜乾燥→点状表層角膜炎→慢性的な眼炎症となって、目が充血し、異物感があり、眼痛も出てくる。


 瞼裂斑の隆起は、耳側よりも鼻側に多い。慢性的な炎症から紫外線被曝で翼状片になることがある。予防には、UVカットのコンタクトレンズ(CL)や眼鏡が有効である。CLは、角膜全体と結膜の一部(輪部)を覆うので、水晶体も含めて紫外線被曝がほとんどない。眼鏡も角膜や結膜への紫外線被曝に有効である。(寿)