ディテーリング型の営業だけでは医師の処方決定を動かせない
“営業は、お客さんにお会いしてこそ。高頻度のドクター訪問こそが売上げを伸ばす!”
頻回のディテーリングが売上げにつながるという事実は確かにある。
しかし、2012年4月から導入された接待費規制等により、ドクターに面会する時間が限られてくると、これまでのような営業活動は成立しづらくなってきた。
そこで、減少した面会時間を補うための対策として、各社とも場所や時間の縛りなく利用できるe-ディテーリングのためのコンテンツのさらなる充実をはかったが、それもなかなか売上げに結びつかないと頭を悩ませているようだ。
その理由のひとつとして考えられるのは、医師の処方決定に影響を及ぼすMR以外のドライバーだ。
ドライバーには
①卸
②インターネット
③個人的につながりのあるほかの医師からの影響
④講演会といったMR以外のチャネル経由のエビデンス
⑤MR
が挙げられる。
⑤にMRが挙げられている通り、MRのディテーリングが心に響くドクターに対しては、これまで通りの営業方法が最も効果的だ。しかし、それ以外の医師に関してはなかなか成果に結びつかない。
①〜④によって心を動かされる医師へのアプローチを成功させるためにMRに必要なのは、まず、面会する医師が影響を受けるドライバーを明確にし、その医師にあった情報をカスタマイズして提供することだ。
しかし、短い面会時間で医師が好むドライバーを探り、次の面会の際に提供する情報はどのようなものがいいか選別し、その頻度はどの程度が最適か考えるのは困難で複雑な作業である。
ここで朗報だ。
これらの情報分析からアクションの提案までを一手に引き受けてくれるMultiple Channel Automation(MCA)という仕組みがあるというのである。
このMCAを取り入れたシステムを用いて営業活動を開始しているアッヴィ合同会社の話を伺った。
アッヴィ合同会社の挑戦
「個々のドクターのニーズ・ウォンツを把握するにはMCAを用いるしかない」
強く言いきったのは、アッヴィ合同会社事業戦略支援本部本部長の永田康秋氏だ。
「近年、顧客であるドクターが情報を収集するチャネルは多様化し、従来のSales Force Automation(SFA)では医師の処方決定を動かすことが困難になってきています。さらに、医師によってチャネルの好き嫌いも明確化する傾向にあるため、医師一人一人に対して最適なアプローチをすることが求められています。それを唯一実現可能にするのがMCAなのです」
SFAとは、営業支援のために使う情報システムのこと。
アッヴィ合同会社では、MCAにはSFAにはなかった新しい価値があるとし、Veeva JAPAN株式会社が提供するMCAを用いた “Veeva CRM”を導入した。
永田氏は、MCAがもたらしてくれる新しい価値は大きく5つあると言う。
①その医師に対して効果的なチャネルはなにか
②その医師に対しての資源投入時期はいつか
③MRは、誰を優先して資源を投入すべきか
④個々の医師に対してどのようなチャネルミックスを実施すべきか
⑤資源投入量を変更したいときどうすべきか
MCAは、これら5つの課題に対する回答を瞬時に導き出し、MRの営業活動をサポートしてくれるというのだ。
たとえば医師が好む情報源を見極めるには、医師のプロファイルの充実が不可欠だ。
Veeva CRMでは、MRが医師に面会をするたびに今回のコンタクトの成否を検証して、プロファイルをすぐさま自動的に更新し、次にとるべきアクションを促してくれる。
身近な例を挙げると、ショッピングサイトAmazonで買い物をすると、買い物直後に「おすすめの商品」を瞬時に提示してくれるが、あのような仕組みを思い浮かべると分かりやすいだろう。
プロファイルはMRからの情報のみではなく、医師の講演会への参加状況、SNSでどのような医師や医療関係者とつながっているかといった他のチャネルからの情報も加えられ、常に新しいプロファイルになるように作り変えられていく。
MRは、進化した最新のプロファイルに基づき次の計画・実行出来るので、短時間の面会でも医師の心に響くディテーリングをすることが可能になる。
こうした一連の活動の結果を蓄積していくほどに、MCAによりプロファイルの精度が高められていくため、MRは医師に対し、価値の高い情報を提供し続けることが出来る。
問題が起きたら情報を瞬時に共有し、全員でアイデアを出して解決
「一人では不可能なことも、チームで取り組めば達成することが出来ます。私たちが導入したVeeva CRMのChatterという仕組みを用いることで、それが容易になりました」
ChatterはVeeva CRMに含まれる情報をシェアする専用のツールのこと。
医師のプロファイリングは日々ブラッシュアップされ、医師のウォンツとニーズに応えているにも関わらず、成果が上がらなかったり、ときには売り上げが低下することがある。
こういうケースにおいて、これまではエリアマネージャーがコーチングしていくのが一般的だったが、タイムリーな解決法とは言えなかった。そこでChatterの登場である。
Chatterを利用すれば、MRやエリアマネージャーはもちろんブランドチームなど組織の全員が瞬時に問題を共有することが出来る。もちろん問題だけではなく成功事例も共有出来るのでチームのモチベーションアップにも役立つ。
Chatterは導入してまだ間もなく、問題解決に関する成功事例はまだ少ないが、今後も積極的に活用し成功事例を着実に増やしていきたいと永田氏は語った。
「医師のウォンツ・ニーズに応えていくことは、ひいては患者様が受ける医療の質の向上につながります」
そのためにも、年3回の継続的な進化を続けていくVeeva CRMとともに、MRも柔軟かつスピーディーに変化し、質の高い情報と医療を医師へ提供し続けていきたいと意気込みを語った。(育)
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