今週は各誌ともに年末年始の合併号。通常より分厚いワイド特集を組んでいる。そんななか、ポストは『大予言2016日本の「天国と地獄」』、現代は『2016年大予測!日本が変わる 世界が変わる』と、似たような新年を展望する巻頭特集を掲載した。


 個人的な趣味から言えば、この企画はポストのほうが面白い。現代は中途半端に真面目に作りすぎていて、たとえば『株8月に暴落? 日本経済「急ブレーキ」は本当か、ウソか』『テロ要注意、大地震も想定内に』『内村航平だけじゃない リオ五輪で金メダルを取る「英雄」35人』といった具合である。


 ポストは、と言えば、『フジテレビ民報最下位に転落 カトパンほか人気女子アナが流出』『参院選「自民圧勝」に大異変! 共産党が「大衆党」に党名変更』『サッカーW杯最終予選 ハリルJAPANまさかの敗退』など、微妙なさじ加減のおふざけ路線に徹している。


 この手のふざけ方は塩梅を間違えると読む気を失うが、それぞれの記事はまるっきりの空想仕立てでなく、それなりの取材記事として書かれている。大ニュースを予想する展望など、どう書いても“マユツバ”なのだから、どうせならシャレや毒気があるほうがいい。


 気になったのは、両誌が菅官房長官の立ち位置をめぐって、別々の予想を立てていることだ。ポストが思い描くのは、軽減税率の導入で公明党の意向の“丸飲み”を無理強いされ、怒り心頭の自民党幹部らが「菅降ろし」に動くというシナリオだ。


 片や現代は「衆参W選挙」を経て官房長官が政権への野望を露わにし、安倍総理への“下剋上”が始まる、と予想する。どちらも一種の占いなのだから、どうこう言うのも無粋だが、静かすぎる自民党内に波乱の目が生まれるなら、いずれにせよ興味深い。


 個人的に沖縄問題で現地取材を重ねている立場から、どうにも不快感を禁じ得ないのは保守系雑誌の翁長知事・沖縄たたきのやり口である。今週は新潮が小さな記事ながら、沖縄での独立をめぐる議論をとりあげているが、記事の写真キャプションで例のごとく「もともとは移設賛成派だった」と翁長氏への印象操作を潜り込ませている。


 翁長氏がかつて支持したのは、稲嶺知事時代の「15年の期限付き」「軍民共用」の条件付き移設であり、その条件を政府が反故にしたことに、記事は口を拭っている。本文のベースとなるコメントの語り手は、翁長氏の娘が中国に留学し、中国共産党員と結婚した、という悪質なデマを流布させたことで有名な“在沖ジャーナリスト”である。


 沖縄問題の解決は容易でなく、「本土だけの利益」を考えれば、沖縄1県に泣いてもらうほうが手っ取り早く思えるかもしれない。批判は一向に構わない。ただ、どんなスタンスにせよ、議論は客観的事実の上で交わすべきもので、デマ頼りの批判の多さには、いいかげんゲンナリする。


 保守メディアのこうした体質が、現地の怒りや絶望を増幅させ、独立論議にまで追い風を与えていることに、どうして考えが及ばないのだろう。この問題をこじらせ、国益を害している“A級戦犯”には間違いなく、彼らも含まれる。


2015年はいつになく攻撃的なやり取りが横行した年だったが、来年はもう少し寛容な世相に戻ってほしいと感じている。ともあれ、皆さまよいお年を。 

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三山喬(みやまたかし) 1961年、神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。1998年まで13年間、朝日新聞記者として東京本社学芸部、社会部などに在籍。ドミニカ移民の訴訟問題を取材したことを機に移民や日系人に興味を持ち、退社してペルーのリマに移住。南米在住のフリージャーナリストとして活躍した。2007年に帰国後はテーマを広げて取材・執筆活動を続け、各紙誌に記事を発表している。著書は『ホームレス歌人のいた冬』『さまよえる町・フクシマ爆心地の「こころの声」を追って」(ともに東海教育研究所刊)など。