7月30日に都内で開催された「第5回サーバントリーダーシップフォーラム」に参加した。7月1日付でノバルティスホールディングジャパンの代表取締役社長に就任した鳥居正男氏の講演「グローバルリーダーに必要なこと」が目当てだったが、この日、最も盛り上がったのは、都内では義務教育初の民間校長(杉並区立和田中学校)として話題となった奈良市立一条高等学校校長の藤原和博さんが、ハンバーガー店のアルバイトの時給800円とシニアレベルのコンサルタントの時給8万円の“100倍の格差”のカギを会場に問いかけた時だった。医師や弁護士は時給3万円に位置付けられていた。


 この100倍の差は何から生まれるのか? その答えについて藤原さんは「希少性」だと語り、子供たちには“レアカード”になれと伝えているという。


 希少性とは「かけがえのない」存在であり、顧客から「指名買い」される存在だ。藤原さん自身は、20代のリクルート勤務時代に「営業とプレゼン」を磨いて100人に1人という存在になった後、30代に「リクルート流マネジメント」を身につけ、100人に1人のマネジャーレベルを獲得したという。1/100×1/100で1万人に1人の希少性を獲得した後に教育改革者となり、さらに100人に1人の校長レベルになったわけだ。計算すると、100万人に1人の人材ということになる。


 このコラムを読んでいただいている読者に、「100万人に1人の人材をめざせ」とは言わないが、訪問している得意先の中で“ベスト3”のMRになるために、藤原さんが示した「信任の三角形」(1/100×1/100×1/100)を意識することをオススメしたい。


 なぜなら、多くの医師が頼りにするMRの数は3〜4人であり、地域包括ケアが拡大する今後は、4位以下のMRはますますディテーリング時間の確保が難しくなると予想されるからだ。


 専門領域×地域包括ケア×栄養に関する知識など、掛け算できる3つの項目をつくっていこう。


 ちなみに、鳥居社長は外資系トップとしての23年間の経験から、▽本社との深い信頼を築くこと▽顧客との深い関係づくり▽社員が仕事をする価値を感じる職場づくり——の3つが外資系企業のトップとして成功するためのポイントだと述べていた。


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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。