地域医療構想と地域包括ケアの流れを受けて、“エリア戦略担当者”を置く製薬企業が増えた。


 構想区域(2次医療圏)ごとの情報を分析して地域医療構想調整会議の参加メンバーに接触したり、各職能団体の幹部と情報交換して自社が貢献できることを探るといったことを、1人のMRに頼るのは酷だ。


 エリア戦略担当者が支店長の右腕となり、主力商品の売上を最大化するために、MRが仕事をしやすくするためのサポートやアドバイスをすることが同担当者の役割であろう。


 しかし、そのエリア戦略担当者に何をさせたらいいのか?という話を耳にすることが多い。


 まずは、以下のような資料・データを分析することが必要だ。


・地域医療構想

・経済産業省「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」報告書

・日医総研 日医総研ワーキングペーパー「地域の医療提供体制の現状-都道府県別・二次医療圏別データ集- (2015年度版)」

・病床機能報告制度

・在宅医療にかかる地域別データ集


 各データを把握したうえで、担当エリアについて、次の2つについて自問したり、MRや所長などと意見を出し合うといいだろう。


Q:何が増えるのか?


Q:何が減るのか?


 出てきた項目について、それぞれ「チャンス」(C)なのか「ピンチ」(P)なのか印を付けてみよう。


増えるもの

減るもの

(例)後発医薬品(P)

 

 

 

 

 

 

 

 


その後に、(C)を最大化する対策と(P)を最小化する対策を考えてみよう。


「増えるもの」と「減るもの」

対策案

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 挙げられた対策に優先順位をつけて行動プランを立てることで、環境変化と“売上”を結び付けることができる。


 環境変化を「自分ごと」としてMRや所長に認識させるのがエリア戦略担当者の役割でもある。

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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。